若者の性体験が減ったのはAIDS感染に関する情報が浸透したため(depositphotos.com)
米国立健康統計センター(NCHS)のJoyce Abma氏らは「米国のティーンエージャーの5割以上は性体験がない」という研究結果をCDC(米国疾病管理予防センター)が発行する『National Health Statistics Report』6月22日号に発表した。
発表によれば、Abma氏らは、2011~2015年にCDCの支援を受け、全米の15~19歳の男女4000人以上の対面調査を実施した。
その結果、「1回以上の性行為の経験がある人」は、男性44%、女性42%。経験がある人のうち、「初めての性行為の相手と交際関係にあった人」は、男性51%、女性の74%だった。
一方、初めての性行為を「会ったばかりの相手」と経験した人は、男性7%、女性2%にすぎなかった。
性行為の経験率は、2002年の調査からはほとんど変わっていないが、29年前の1988年の調査では、「1回以上の性行為の経験がある人」は、男性60%、女性51%だった。
米シアトル小児病院のCora Breuner氏は「近年の若者が性行為に慎重になっている主な理由はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)によるAIDS感染だ。この致死的な性感染症に関する情報が浸透したため、性行為の経験率は減少した」と説明する。
避妊法はコンドーム56%、ピル31%、避妊薬13%、コンドームと避妊薬の併用22%
妊娠に対する意識はどうだろう?
「性行為で妊娠したら困る」と回答したのは、男性が80%、女性が89%。「妊娠したらうれしい」と回答したのは、男性が20%、女性が11%。直近の性行為の時に「何らかの方法で避妊をした」と回答した人は、2002年は83%だったが、今回は90%に上昇している。
女性の避妊法はどうだろう?
コンドームを使用した女性は56%、ピルが31%、ホルモン製剤ベースの避妊薬が13%、コンドームと避妊薬の併用が22%だった。また、性経験のある女性の23%は緊急避妊薬を使用した経験が1回以上あり、2002年の8%より急増している。
Breuner氏は「避妊法が変化したのは、若者が親の介入なしに避妊具や避妊薬を入手しやすくなり、親と子どもがセクシュアリティ(性のあり方)について率直に話し合い、子どもに賢い性行動を促す機会が増えたからだろう」と推察する。