職場で「熱中症」死者・重傷者は毎年500人! 対策は梅雨明けまで体を慣らす「熱暑順化」

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日常生活でも体を暑さに慣れさせる「熱暑順化」を

 「WBGT値(暑さ指数)」とは「気温」「湿度」「輻射熱」から導き出される、暑さストレスの目安となるもの。熱中症の危険度を判断する数値として環境省で平成18年から情報提供されており、Webで各地の実況推定値も公開されている(参考;環境省「熱中症予防情報サイト」)。

 単位は気温と同じ「℃」だが、「気温:湿度:輻射熱」の及ぼす効果が「1:7:2」となり、とりわけ湿度の影響が大きく反映される指標だ。事業者はこのWBGT値を把握し、それに基づいた作業計画づくりが求められている。

 たとえば「軽い手作業」「釘打ち」「ブロックを積む」などの作業強度に応じて、悪影響を受けないとされる基準値がある。それを超えると熱中症にかかる可能性が高くなるため、空調を使ったり、作業強度を下げたりするなどの対策が必要だ。

 また、作業者が初めて高温多湿な場所で作業をするときは、7日以上かけて計画的に作業時間を長くし、体を暑さに慣れさせる「熱暑順化」が重要になる。

梅雨明けまで暑さに体を慣らす

 熱暑順化の大切さは強度の強い作業をする人のみならず、私たちの日常生活においても同じだ。かつては誰もが梅雨時の蒸し暑さにさらされて順化したが、冷房のある環境が増えた今は、積極的に順化するための対策が必要だ。

 たとえば運動や入浴で夏が来る前によく汗をかくこと。梅雨明けまでに順化しておけば、熱中症にかかるリスクをぐんと下げることができる。

 政府は職場での熱中症について、2013〜2017年の死傷者数をその前の5年間から20%以上減少させる目標を設定してきた。しかし、今年1月の時点ですでに目標件数を上回り、80人超の労働者が死亡している状況だ。

 このため厚労省では熱中症死亡災害ゼロを目指し、9月30日まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施している。対策としては、WBGT値の把握や休憩場所の確保、服装の見直し、熱中症予防管理者の選任などがあげられている。

 職場での熱中症は一般より高温多湿な環境や、作業者の体調にあわせて休憩をとりにくいこと、作業が長時間にわたることなどが要因になる。管理者だけでなく作業者含め、現場に携わる全員が正しい知識を身につけることが重要だろう。
(文=編集部)

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