シリーズ「熱中症をあなどるな!」第5回

熱中症対策は水分補給だけじゃダメ! 逆に水が飲めなくなってしまう「自発的脱水」とは?

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水分補給だけでは血液のナトリウム濃度が低下してしまう

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 ヒトの体内からは、毎日約2.5Lの水分が失われている。

 その内訳を見ると、尿が約1500ml、不感蒸泄(呼気や皮膚から失われる水分)が約900ml、便が約100mlだ。とりわけ夏場は、大量の発汗があるので、意識的な水分補給が欠かせない。

 ただし、水分補給する時の注意点がある。

 急に大量に汗をかいた時は、発汗量に見合った量の水を飲めなくなる「自発的脱水」の状態になる。自発的脱水とは、脱水時に水分だけを飲むと、体液のナトリウム濃度が低下し、喉の渇きが止まるため、水分が飲めなくなってしまうことだ。

 ヒトの血液には、約0.9%濃度のナトリウムが含まれている。汗をかいた肌をなめると塩辛いように、汗にはナトリウムが含まれている。大量に汗をかいてナトリウムが失われた時、水分だけを飲むと血液のナトリウム濃度が薄まる。

 ナトリウム濃度が下がると、濃度を戻そうするので、水分を飲む気持ちがなくなり、余分な水分を尿で排泄する。この自発的脱水の状態になると、汗をかく前の体液量を回復できなくなり、運動能力が低下し、体温が上昇するので、熱中症にかかるリスクが高まる。

 つまり、一度に大量の水分だけを摂取すると、体内のナトリウムのバランスが崩れるので、体調不良や熱中症を引き起こす。したがって、飲む量は、かいた汗の量を目安に、汗で失われたナトリウムもきちんと補給することが大切だ。

水分補給!塩分摂取!避暑!

 では、最後に熱中症を防ぐポイントをまとめよう!

 一にも二にも、こまめに水分補給。いつでも飲めるように水分やミネラル飲料などを持ち歩こう。外の気温が35℃以上の真夏日や、気温27℃以上で湿度の高い日は、頻繁な外出や激しい運動は避けよう。外出時は、帽子を被り、涼しい薄着で。ただ、外の気温と建物内の空調温度にかなりの温度差がある場合があるので、一枚羽織れる衣服を持ち歩こう。

 睡眠不足にならないように気をつけよう。栄養が偏らないように、体調管理を徹底することも重要だ。室内では、部屋の風通しを良くしたり、エアコンや扇風機を上手に使ったり、シャワーやタオルで身体を冷やそう。

 体を暑さに徐々に慣らす。暑い時は、何事もムリをしない。緊急時や困った時の連絡先を確認しておくことも重要だろう。

 再三再四、繰り返すが、熱中症対策の合言葉は、こまめに水分補給、しっかり塩分摂取、涼しく避暑。熱中症にならないように、この夏を元気に過ごしてほしい。
(文=編集部)

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