連載「死の真実が〈生〉を処方する」第40回

ここまで身近になった薬物乱用! 国民の0.1%が何らかの違法薬物にかかわった経験が

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危険ドラッグに手を染めた動機は「知人や友人に勧められた」が47.5%(depositphotos.com)

 近日、人気グループの元メンバーや大物俳優の息子の若手俳優が覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕されるニュースが流れました。

 ここ数年だけでも、国民的な人気のあった元プロ野球選手や元俳優、歌手など、覚せい剤や大麻の使用で逮捕される有名人の違法薬物事件が相次いで報じられています。このように、国民に親しまれた人までもが、薬物を乱用しているのです。

 先日、ある県の科学捜査研究所長にお話を伺ったところ、覚せい剤を中心とした薬物乱用にかかわっている人は、国民の0.1%程度いると推計されるそうです。

 驚くほど身近な存在となった違法薬物。使用してしまうきっかけで一番多いのは、友人や知人からの誘い――。今回はここまで身近になってしまった薬物乱用について考えてみます。

青少年が薬物に手を染めるケースは?

 薬物使用などで矯正施設に入っている子のなかには、幼少期から両親に十分な愛情を注がれず、さらには「虐待」を経験した少年が少なくありません。そして、中学校や高校にきちんと通わず、悪の誘いにのって夜遊びをしたり、風俗営業などに従事します。

 その時に知り合った人などから薬物を勧められ、「興味本位で手を出したら止められなかった」というケースが多いのです。

 このような薬物に手を染めた少年の多くは、1種類だけの薬物しか使用していないということはなく、多くの薬物を乱用しています。例えば、最初は有機溶剤(シンナー)を使用したが、そのうち飽きて危険ドラッグを使い、さらに刺激を求めて覚せい剤を使用するという感じです。

 矯正施設には覚せい剤使用の後遺症で、精神症状が出現して苦しんでいる子や、覚せい剤の回し打ちで肝炎に罹患している子などもいます。十分な知識や判断力がない少年を、このような道に追い込んだのは大人の社会です。

 薬物乱用にかかわってしまった少年たちを診察するたびに、なぜこのような社会になってしまったのかと心を痛めます。

一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。社会医学系指導医・専門医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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