「嗜好用大麻」と「産業用大麻」の違いは?(depositphotos.com)
大麻に関するニュースが後を絶たない――。
昨年10月、「医療用大麻」の必要性を訴えていた元俳優の高樹沙耶(本名・益戸育江)被告が、沖縄県石垣市の自宅で乾燥大麻を所持していたとして、大麻取締法違反に問われた。1月23日の初公判で、高樹被告は「私が所持している物ではない」と起訴内容を否認。被告人質問では使用について「歯の痛みを和らげるため(大麻を)月に4、5回使っていた」と述べていた。
また、昨年11月、10年以上前に長野県に移住して共同生活をしていた20名以上の男女が、大麻を大量に不法所持・使用して逮捕された。1月31日、名古屋地裁は、村松一彦被告に懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。山田耕司裁判官は大麻の所持量が多いなどとして「刑事責任を軽く見ることはできない」と述べた。
「産業用大麻」を栽培していた業者が「嗜好用大麻」の所持で逮捕
さらには、昨年10月、「産業用大麻」を栽培していると称して「嗜好用大麻」を所持し逮捕されたという特異な事件もあった。
県知事が許可した大麻取扱者免許を取得し、「町おこしのため」と称して鳥取県智頭町で神社のしめ縄や加工食品を作るために大麻の栽培を行っていた販売会社の代表が、嗜好用大麻の所持で大麻取締法違反の疑いで逮捕された事件だ。
広島地裁は12月26日、上野俊彦被告に懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決を言い渡した。被告は町内で栽培していた大麻とは異なる乾燥大麻を大量所持していたが、入手ルートに関しては依然として不明とのことだ。
大麻取締法によると、大麻草の茎や種子より生成された製品は合法、葉をあぶって煙を吸うと違法であるとしている。幻覚作用のあるテトラヒドロカンナビノイド(THC)の含有量が嗜好用では5~20%と高く、産業用のそれはわずかに0.3%を有するのみである。
しかし、嗜好用大麻でも乾燥させて所持、さらに吸引したりすると違法であり、逮捕につながるのである。