シリーズ「脊柱管狭窄症をもっとよく知る」第3回

どうしても痛みがとれない慢性化した脊柱管狭窄症は「漢方薬」で改善!

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牛車腎気丸を服用して約10ヵ月後に仕事に復帰

 丁院長によれば、整形外科で治らなかった痛み・痺れが漢方薬によって改善した症例がある。たとえば、脊柱に沿っている後縦靭帯(こうじゅうじんたい)が骨化し、脊髄や神経を圧迫する後縦靭帯骨化症を併発していたG・Kさん(63歳)の場合だ。

 G・Kさんは、若い頃からボイラー修理の仕事に携わり、毎日足腰を酷使し、事故で腰を痛めたため、加齢とともに足腰の痛み・痺れが強くなり、仕事や日常生活に支障が出た。整形外科では、MRI(磁気共鳴断層撮影)の結果から脊柱管狭窄症と診断され、後縦靭帯骨化症の併発も判明。脊柱管狭窄症の手術を受けたが、快方に向わず、強い痛み・痺れが続いていたため、来院した。

 G・Kさんは、運動はしておらず、身長172cm、体重83kgの肥満体型だったことから、下肢の脱力や痛み・痺れに効果がある「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」を処方。鍼治療も行いつつ、食習慣を見直し、減量にも努めるように指導した。その結果、牛車腎気丸を服用して約10ヵ月後に痛みはほぼ消失し、足先の痺れは多少残っているものの、支障なく仕事に復帰した。

冷えとストレスから来る腰の痛み・痺れも改善

 もう一つの症例は、閉経直後から頭痛、脱毛、関節の痛みに加えて腰痛が現れたM・Yさん(50歳)の場合だ。

 M・Yさんは、書店勤務で重い荷物を運ぶことが多かったため、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断され、体が冷えると足腰の痛み・痺れが絶えないため来院。M・Yさんは家族の病気や介護などの難題を抱えていたため、日々強いストレスに晒されていたことから、顔色は赤黒く、血流が悪化していた。

 この方には体を温め、気や血の巡りをよくする生薬を配合した「疎経活血湯(そけいかっけいとう)」を処方し、同時に鍼治療も行った。その結果、疎経活血湯を服用して約半年後に、腰の痛み・痺れの症状はほぼ解消し、頭痛、脱毛、関節痛はかなり改善した。ただ、相変わらず心労の絶えないストレスフルな日々が続いているので、現在も処方を変えながら、漢方薬を飲み続けている。

 漢方薬の治療では一人ひとり体質や体調をじっくりと観察しながら行なう。必ず専門医に相談して欲しい。

(監修協力=脊柱管狭窄症ひろば

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丁宗鐵(てい・むねてつ)
百済診療所 院長
横浜市立大学医学部大学院修了 医学博士
米国スローン・ケタリング癌研究所に客員研究員として留学
北里研究所東洋医学総合研究所研究部門長、東京大学大学院医学系研究科生体防御機能学講座客員助教授を歴任
現在、日本薬科大学教授
<百済診療所>
東京都中央区日本橋3-15-7 藪伊豆(やぶいず)ビル4F
(http://kampochiryou.com/)


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