妻の4人に1人は夫の勤務先がブラック企業と思っている
夫の勤務先はブラック企業と思う妻は24.8%。この結果は、働き手の4人に1人が自分の勤務先をブラック企業だと感じているという「第4回 仕事・会社に対する満足度調査」(2017年2月24日発表)の結果と一致している。
夫の勤務先がブラック企業と思う理由は、サービス残業が多い(回答率54.4%)、有給休暇を取れない(同49.7%)、休日出勤が多い(回答率31.5%)だ。したがって、夫の勤務先がブラック企業と思う妻は、不満、転職希望、離婚意識が高いことから、夫の勤務先がブラック企業であることと、夫の仕事に対する不満との間に明らかな相関性がある事実が推測できる。
夫の仕事が夫婦関係にどのような影響を与えているかを調査した今回の調査の意義は何だろう? 夫の仕事に対する妻の満足度は、夫の収入に左右されるため、平均的な収入(国民の平均年収415万円)水準さえあれば妻の離婚意識は低い。
サービス残業や休日出勤が多いため、夫の勤務先がブラック企業と思っている妻は、夫の収入が理由で離婚したい妻よりも、離婚意識は低い。
だが、夫の仕事が原因で離婚したい妻は8.2%もある――。したがって夫は「仕事が原因で離婚したい」と妻に言われないように、働き方を強く意識したり、改善することが必要かもしれない。さらに、夫の勤務先の企業は、サービス残業の撲滅、休日出勤の制限、福利厚生の充実に努めながら、夫が妻の不満に晒されないように職場環境を改革すべきだろう。
離婚比率は約34.9%!3組に1組以上が離婚組?
最後に、結婚と離婚にまつわるトリビアを1つ2つ3つ。
厚生労働省(2016年人口動態統計の年間推計)は、日本の婚姻件数62万1000件、婚姻率0.50%(1000人当たり)。離婚件数21万7000件、離婚率1.73%(1000人当たり)と推計する。統計上の離婚比率は約34.9%なので、3組に1組以上が離婚組に見える。だが、これは数字のトリックだ。
この離婚比率約34.9%は、調査年の離婚件数を婚姻件数で単純に割った数字にすぎない。つまり、2004年以降、分母の婚姻件数が毎年減少するとともに、離婚件数が増加し、しかも、分子の離婚件数は、調査年以前に結婚したカップルの離婚件数を含むため、離婚率が必然的に高止まりする。正確な離婚率を知るためには、たとえば、2016年に結婚したカップルの離婚率を追跡しなければ分からない。だが、そのようなデータは手元にない。
次に、離婚する夫婦の意識を見よう。総務省統計局「人口動態統計」(2014年9月11日)によれば、社会の離婚に対する許容度が緩和したため、世代間の「離婚は恥」という固定観念は激減。相手に満足できないなら離婚を選ぶと考える人が男女ともに過半数を超え、若い世代ほどその傾向は強い。終身雇用の崩壊、女性の社会進出、家庭内の役割分担に対する夫婦の意識の相違も、離婚に追い打ちをかける。
2014年の「同居をやめた時の年齢別の離婚率」によれば、30~34歳の女性の離婚件数は3万283件と全世代を通じて最多だった。初婚年齢は、夫31.1歳、妻29.4歳。同居期間が5年未満の離婚率は32.1%、同居期間5~9年の離婚率は20.9%だった(「統計から読み解くアラサーが夫を見切る背景」2016年4月23日)
離婚理由の第1位は、男女を問わず、相手の言動の自分勝手さが耐えられないなどの性格の不一致。ただし、2007年以降は、夫が生活費を渡さない28.5%と、夫の不手際と怠慢が離婚を煽っている。
離婚による悩みの第1位は、やはり子どもだ。離婚に至るまでの同居期間が短くなるため、幼児を引き取る母子離婚や、シングルマザーの貧困の悲痛な局面は避けがたい。一旦離婚すれば、子どもに接する時間も機会も失う。子どもが精神的に不安定にならないか? 子どもは食べていけるのか? 子どもは適切な教育を受けられるのか?別れた夫婦にとって懸念のタネは、いつまでも尽きない。
2005年10月に放送されたTVドラマ『熟年離婚』でブレイクした熟年離婚はどうだろう? 過去の「人口動態統計調査」によると、同居期間20年以上の熟年世代の離婚率は、1980年の7.7%から、1990年の13.8%、2013年の16.4%と増えこそすれ、減る兆しはない。ちなみに、離婚率と離別率は違う。つまり、離別率は、離婚後に再婚せずに、配偶者がいない状態の比率だ。
さて、いよいよ「離婚騒動」も大団円。2016年の離婚率の高い都道府県ランキングで締めよう。1位・沖縄県、2位・北海道、3位・大阪府、4位・宮崎県、5位・福岡県、6位・和歌山県、7位・高知県、8位・東京都、9位・鹿児島県、10位・熊本県……。あなたが住む街は何位だっただろう?
「3日間幸せでいたければ恋をし、結婚しろ」が真理なのか?「一生幸せでいたければ誰かを手助けし、正直に生きろ」が正論なのか? その答えは、離婚すればわかるかもしれない。
(文=編集部)