ついに「メンズピル」の解禁か!? 苦難の道を歩む男性のための避妊方法

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マウス実験では男性用ピルの可能性が!

 しかし「ついに男性用ピルの解禁!?」という胸高なる垂涎のビッグニュースが飛び込んできた。大阪大学の分子生物学や遺伝子学の研究者らは、マウスを使った遺伝子操作の実験を重ね、カルシニューリンという酵素が可逆的かつ迅速に作用する男性用ピルになり得ると『Science Expressジャーナル』(2016年10月1日号)に発表した(「foxnews」2017年1月5日付)。
http://www.foxnews.com/health/2015/10/05/male-birth-control-treatment-could-focus-on-sperm-proteins-not-hormones.html

 発表によると、オスマウスのカルシニューリンの生成をブロックすると、着床する精子ができない事実が判明。つまり、カルシニューリンができないようにオスマウスを遺伝子操作すると、メスマウスは妊娠できなかった。カルシニューリンは、脳神経系に豊富に存在し、シナプス可塑性、記憶・学習、細胞内カルシウムや遺伝子の発現調節、アポトーシスの制御などに深く関わる脱リン酸化酵素だ。

 また、また別の実験では、オスマウスにカルシニューリンの働きを阻害する2種類の薬剤(臓器移植後の急性拒絶反応を抑制するシクロスポリンAとFK506)を投与したところ、精子が泳げず受精に至らなかった。

 だが、投薬を止めると、1週間以内に精子の活性力が一気に回復した。さらに、腎臓移植後にカルシニューリンの働きを阻害するシクロスポリンAを服用した男性9人のうち3人は精子の機能が阻害されなかったので、受精に成功し子どもをもてた。

 カルシニューリンは、脳神経系にある酵素であり、性ホルモンではないため、副作用も性欲減退やうつに襲われるリスクも低い。性ホルモンの作用を受けないピルなら、男性が受け入れやすく、女性のメリットも大きい。

 精液には感情を高ぶらせるコルチゾールやエストロン、愛情ホルモンのオキシトシン、坑うつ作用の強いセロトニンなどが多量に含まれるため、幸福感を高める。

 このような精子の機序や男性用ピルの研究は、オーストラリアのモナッシュ大学のサバチーノ・ベンチュラ博士やアメリカの研究機関でも進んでいる。

 ただ、マウスの実験段階なので、ヒトへのエビデンスはないが、男性用ピルのデビューが秒読みに入っているのは確かだ。近い将来、男性もピルを飲む日が必ずくるだろう。

 そのほか、インドネシア国立家族計画調整委員会とアイルランガ大学の研究者らは、ガンダルサと呼ぶ葉に受精能力を低下させる成分があり、99%の有効率がある事実を大規模な治験で確認。男性用ピルの開発が加速している(GlobalPost.com/Indonesia’s New Male Birth Control Pill is ‘99 Percent Effective’2014年12月4日)。期待しよう。
(文=編集部)

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藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。慶應義塾大…

堤寛

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫