適量のワインは血糖値を下げるという報告も
だが、注意したいのは、この研究は飲酒者の「酒類によって糖尿病になるリスク」を比較したもの。当然、どんな酒でも飲み過ぎれば糖尿病を発症するリスクは上がる。
アルコールのカロリーは、1gあたり7kcalと高い。ところが、アルコールのエネルギー自体に血糖値を上げる力はない。体内でブドウ糖にならないからだ。ただし、アルコールには肝臓内のグリコーゲンをブドウ糖へ分解する作用を促進する。どのような酒類でも、飲めば一時的に血糖値は上昇する。
しかし一方で、適量であればアルコールには翌朝の血糖値を下げる働きもあるといわれる。
実際に190人の2型糖尿病患者を2グループに分け、一方には毎晩適量のワインを、もう一方には毎晩ノンアルコール飲料を飲んでもらうと、朝の血糖値はワインを飲んだ群のほうが22 mg/dlも低かったという報告がある(健康な人の空腹時血糖値は80~125mg/dl)。
すでに医師の指導の下で糖質制限をしている人は除き、通常は飲み過ぎなければ、好みの酒を飲んでも糖尿病のリスクアップとの関連はないようだ。お酒は嗜好品、どうせなら、自分がいちばん美味しく感じるものを楽しみたい。
(文=編集部)