歯科と医療界がどこまで連携できるのか?
歯周病専門医でADAのスポークスパーソンを務めるSally Cram氏は、自身の臨床経験でも多くの患者が糖尿病の存在に気づいていないことを実感しているとしつつ、「治療しても歯周病が治らない患者には糖尿病の検査を勧めるべきだ」と述べている。
同氏によると、血糖コントロールが不良な糖尿病患者でも歯周病を治療すると糖尿病も改善するケースがみられるという。
米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、感染症によく罹ったり、治るのに時間がかかるのは糖尿病の重要な徴候であるとし、「糖尿病と歯周病の関係は両方向で、どちらか一方が改善すれば、もう一方も改善する」と説明している。
なお、同氏は、この研究は因果関係を証明するものではないと付け加えている。
また、Cram氏は、歯科トラブルのほとんどは歯周病であるが、歯を1日2回磨き、フロスを1回使い、定期的に歯科医の診察を受ければ予防できると、歯周病予防の大切さを強調している。
なお、歯茎からの出血や歯茎の退縮、知覚過敏、息がくさい、変な味がするといった症状がみられたら歯周病のサインであるという。
これまでも歯周病と生活習慣病の密接な関係は『口腔内の雑菌は100億個以上~<除菌治療>が歯周病と生活習慣病を防ぐ!』『歯周病と関節リウマチに大きな関係性! 歯周病治療で関節リウマチが治るかも!?』などでも記事にしてきた。
『がんや生活習慣病と「歯の病気」には密接に関係が』の小峰一雄院長は豊富な臨床経験から、がん患者と歯周病患者に共通する5つの特徴をあげる。
曰く、①糖質を好む、②低体温である、③交感神経がつねに優位にある、④呼吸が浅い、⑤酸性体質である。ことごとく当てはまるかたは一度がん検診をお勧めする。
歯周病と生活習慣病の関連性をこの国の医療と歯科がどこまで連携して解明できるのか、さらには患者にどのような予防措置を施していけるのか、見守っていきたい。
(文=編集部)