がんや生活習慣病と「歯の病気」には密接に関係が〜小峰歯科医院・小峰一雄院長に聞く②

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『名医は虫歯を削らない』の著者・小峰一雄院長

 米国には「Priority to dentistry(歯科を優先すべし)」ということわざがある。つまり大病の前には必ずや歯の病気が起こるから要注意(=未病の表われ)という意味になろうか。

 いま話題の歯科系ヒット本『名医は虫歯を削らない――虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法』(竹書房)の著者、小峰一雄院長(歯学博士・小峰歯科医院理事長)はこう語る。

 「ある場所に病気の原因となる『巣』ができ、そこから全身に菌が運ばれることによって他の臓器に病気を引き起こすことを病巣感染と呼びます。その病巣が歯や歯の根っこなど、歯に関係する場所に出来て体の病気につながった場合を『歯性病巣感染』と言うんですね」

 小峰院長が具体例として語ってくれたのが、リウマチと歯の病との侮れない関係性だ。リウマチ患者の歯根治療が完了すると、リウマチの症状自体が改善された例を何度も体験しているという。

 「逆に、過去に歯の根っこの治療を行なったけれども、最近になって状態が悪くなり再治療が必要な人にリウマチが多く見られたりもする。リウマチ治療を専門のする内科医の友人も『患者で歯に問題のない人は見たことがない』と言いますから、リウマチと虫歯・歯周病は非常に密接な関係があると考えられますね」

 そして、虫歯は「抜かない/削らない」主義の小峰院長が近年、とりわけ注目しているのが「ボーンキャビテーション」と呼ばれる現象だという。

歯を抜くことで起こる体の勘違い

 「歯を抜くと、元々生えていた部分に大きな穴が開きますが、人間に備わる自然治癒力がそれを塞いでいく。しかし、歯を抜いた際に歯根(歯の根っこ)の周りを覆っている膜が残ってしまった場合、周囲の骨が『まだ歯がある』と錯覚し、本来の自然治癒力が働かなくなってしまいます。結果、そのまま空洞が残っています現象を『ボーンキャビテーション』と呼ぶんですね」

 件の空洞に沢山の細菌が棲みついて増殖をくり返す。その細菌を攻撃するための顆粒球が白血球内で大量に作られるが、そのぶんリンパ球が減ってしまうという問題が生じてしまう。

 「特にボーンキャビテーションのように慢性的に細菌が棲みついている場合、つねに顆粒球が多くリンパ球が少ない状態となるため、ウイルスやがん細胞を抑制する力が弱まってしまう。つまり、がんの原因を辿っていったら、歯を抜いた際にできた空洞内の細菌だったというのもあり得ない話ではないのです」

 虫歯や歯周病との関連性を徹底解説している本書の第6章では、「虫歯が多い人は血管が老化している」「歯周病が悪化したら、がんを疑え」「口臭は免疫力低下のサイン」などの見出しが並ぶ。取材中、小峰院長はこんな症例を話してくれた。

 「58歳の肺がん患者さんが、がん治療の外科医からの紹介状を持って来院された。読めば、歯周病があると手術時に菌血症や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まるため、まずは歯周病治療をしてほしいという内容でした。体重が120キロ強の患者さんなので食習慣を尋ねたら大半が炭水化物なので、ご飯は1日1食で野菜中心の食事指導を行ないました。すると歯周病はみるみる改善され、手術も無事終了しました」

 「がん患者と歯周病患者に共通する5つの特徴」の章で曰く、①糖質を好む、②低体温である、③交感神経がつねに優位にある、④呼吸が浅い、⑤酸性体質である。ことごとく当てはまる方には、同書の購入をお奨めしたい。

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