ショットガンよりも大きな音量に!
風船の破裂音にともなう騒音を測定するに際し、Hodgetts氏ら研究班は、次の破裂方法を選んだ。「①ピンで破裂させる」「②割れるまで膨らませる」「③押しつぶして破裂させる」の3種類である。
その結果、最も大きな騒音を引き起こしたのは、「②割れるまで膨らませる」だった。この方法で破裂させた場合の騒音値は168デシベルにも及び、それは12ゲージ仕様のショットガンよりも大きな数値に達した。
カナダ労働安全衛生センター(CCOHS)の提唱によれば、ヒトが曝露される最大刺激音量は「140デシベルを超えてはならない」とされている。膨らませて破裂した風船音は、それを優に超えている危険音量なのである。
「たかが風船破裂」とあなどってはいけない
今回の研究から、風船の破裂音が難聴を引き起こすという因果関係までは証明できなかったそうだが、CCOHSの警告限度音量(140デシベル)を超える爆音を1回曝露されただけでも、成人や小児の聴力が損なわれる可能性は読み取れた。
「なにも私たちは、風船で遊ぶなと言っているわけではない。しかし、風船の破裂音から身を守る、難聴から耳を守る必要性は強調しておきたい。なぜならば、ヒトが齢を重ねた時、内耳に組み込まれた通常の健康的なシステムくらい『優れた補聴器』は他にはないからだ。生涯にわたる聴覚への影響を日ごろから気に留めておいてほしい」(Hodgetts氏)
風船(事故)とバラエティー番組という点では、2015年2月、ももいろクローバーZの妹分グループが自分たちの名称を冠した番組『3B juniorの星くず商事』収録中に、メンバーのひとりが意識不明の状態に……。
番組企画のためにヘリウムガスを一気に吸ったことが原因とされ、専門家筋の「脳空気塞栓症」という推論が報じられた。
また、鼓膜がらみのトラブルとしては、目隠しビンタで出演者5人が誰の手だったかを当てるという番組企画で、お笑いトリオ「GAG少年楽団」のひとりが鼓膜損傷と診断された例もある。
バラエティー番組のウケ狙いで未来を台無しにしては、元も子もない。「たかが風船破裂」とあなどってはいけないのだ。
(文=編集部)