風船の破裂音で難聴に陥る危険性が(depositphotos.com)
お尻で風船割りを競ったり、制限時間の超過で風船破裂という構図は、テレビ草創期から見慣れてきた光景だ。
視聴者をハラハラドキドキさせる心理的な効果は当然ながら、色とりどりの風船が織りなす視覚効果はカラー放送時代に結構重宝された。
だが、時代の経過にともないブラウン管内の刺激的な演出がエスカレートしてくると、初期の他愛ないゲーム感覚から、いつしか「罰ゲーム」的要素の濃厚な風船利用が増えてきた。
鉄道模型の蒸気機関車の先に針が付けられ、接触前に駆けつけて風船を持ち上げていた頃はカワイイもので済んだが……。いまの時代、明らかに嫌がって涙目のアイドルに、風船破裂の恐怖演出を当てがおうものなら「番組炎上」しかねない。
実際、世の中には「風船恐怖症」を自認する方々も少なくなく、タレントの伊集院光さんが自身のラジオ番組で「風船が怖い」とカミングアウトし、視聴者の意見を募ったところ、反響はそれなりに大きかったそうだ。
また、現在放映中のドラマ『東京タラレバ娘』で好演の大島優子さんも大の風船苦手派らしく、それを裏付ける動画もネット公開されている。
まさに「たかが風船、されど風船」の恐怖性癖だが、先ごろ『Canadian Audiologist』に載った最新の研究報告を読むと、あながち他人事ともいえないほど<風船は怖い>ものだと認識をあらためざるを得ない。
風船の破裂音で「難聴」に陥る危険が!
カナダ・アナバータ大学聴覚学のBill Hodgetts准教授らの最近の研究から導き出した結論はこうだ――。子どもの誕生日祝いなどで風船を膨らませる機会がある場合は、細心の注意が必要だ!
というのも、風船の破裂音で難聴に陥る危険性が侮れないからである。風船の破裂音は、場合によっては「ショットガンの音」よりも大きな例もあり、ヒトが聴力を損なう可能性を十分秘めているのだという。
「難聴は、それと気づかぬうちに進行するものであり、大きな音と遭遇するたびに生涯にわたる悪影響が生じる可能性も否定できない」(Hodgetts氏)