連載「グローバリズムと日本の医療」第11回 

タバコよりも安全なマリファナ(大麻)は合法化すべき? 健康被害は歯肉疾患だけ!? 精神疾患は?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
500024-2.jpg

大麻による健康被害は?(shutterstock.com)

 カナダでは2017年にマリファナ(大麻)合法化法案が提出される予定だという。アメリカではすでに20以上の州で、何らかの形でマリファナが合法化されている。

 アリゾナ州では、マリファナの規制をアルコール飲料の規制程度にまで引き下げるべきだという要求を、25万名以上の署名を添えて州政府に提出し、州政府はこの案件を住民投票にかけるか否かを検討中である。

 州議会予算委員会の試算によると、この案件が通れば、アリゾナ州に毎年8200万ドルの新たな税収となるとのことだ。

 合法化を提唱する人たちは、マリファナの使用が深刻な健康障害を引き起こすという科学的証拠があまりないという。従来の研究では、マリファナの使用と体重増加、脳の変化、性的な機能の悪化との関連が指摘されている。

大麻の健康被害は歯肉疾患くらい!?

 このたびニュージーランドで、1972年または1973年に生まれた1037人を対象に、38年間の追跡調査を行った研究成果が発表された。

 今回の研究によると、肺疾患や高血糖値など喫煙による健康障害は多くあるが、長期にマリファナを使用と肺疾患や高血糖値の間に関連性はなかった。

 人間の健康にとっては、マリファナによる弊害よりもタバコによる弊害の方が多いという研究もある。

 デューク大学のアヴシャロム・キャスピ教授は、「気晴らしのために大量のマリファナを吸えば、何らかの悪影響があるとは認識しているが、今回の研究によると、身体的健康への総体的なダメージがあるかと言えばそうとは言えない」と言う。

 しかし、今回の研究によれば、長年マリファナを吸い続けた中年の人々は、歯肉疾患の大きなリスクを抱えているという結果が出た。治療せずに放っておくと、やがて歯が揺れだし、抜けることとなる。長年のマリファナ常習者にとっては、歯肉疾患こそ最大の健康被害だと言える。

杉田米行(すぎた・よねゆき)

大阪大学大学院言語文化研究科教授。米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

杉田米行の記事一覧

杉田米行
バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子