がん、心疾患、肺炎に次いで、日本人の死因のワースト4位となっている脳卒中。
2014年度の厚生労働省の統計データによると、日本人の9%が脳血管疾患(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)で亡くなっている。発症すれば一命を取り留めたとしても、重い後遺症が残ることのある怖い病気だ。
ある日突然に脳の中で起きるように見える脳卒中だが、じつは全身の動脈硬化が引き起こす血管の病気だ。これを防ぐためには、加齢による動脈硬化をさらに加速させる「リスク因子」をひとつずつ取り除くことが鍵になる。
「世の中の脳卒中の大部分は予防できる」ことが、英医学誌『The Lancet』(オンライン版)に掲載された研究で明らかになった。
全脳卒中の90%が、適切に管理すれば取り除けるたった10個のリスク因子によって発症しているというのである。
脳卒中の因子は「高血圧」が飛び抜けて危険!
今回の研究は、脳卒中のリスク因子について以前から研究をしていたマクマスター大学(カナダ、ハミルトン)公衆衛生研究所(PHRI)臨床准教授のMartin O’Donnell氏らによって行われたもの。
「運動不足」や「喫煙」などの要因を排除することで、脳卒中がどのくらい減少するかを調べるため、特定のリスク因子による脳卒中発症率を検討した。
調査対象は北南米、欧州、中東、アフリカ、アジア地域の国々とオーストラリアなど、全大陸の約2万7000人。このうち1万3000人余りが脳卒中の患者だった。
アジアからは中国、インド、パキスタン、フィリピン、タイ、マレーシアが参加しているが、日本人のデータは含まれていないという。
その結果、脳卒中にとって最も危険な因子は「高血圧」だということが判明。高血圧を改善することができれば、脳卒中リスクは約48%も低下すると推定される。