野良犬・野良猫に受難の冬! 「殺処分ゼロ」のドイツやイギリスは民間動物保護団体が活躍

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殺処分ゼロの動物福祉国ドイツやイギリスは寄付金が推進役

 欧米諸国では、民間動物保護団体が大きな役割を果たしている。民間動物保護団体は、各地で動物保護施設を運営し、飼い主に捨てられた犬・猫、野良犬・猫を受け入れ、飼養管理しながら、新たな飼い主の斡旋に努めている。社会的なコンセンサスやシステムが形成されているようだ。

 特に動物福祉国ドイツは、原則として殺処分はない。民間動物保護協会が運営する大規模な動物保護施設「ティアハイム」は、全国500カ所以上の民間シェルターを展開しつつ、動物の保護と飼い主の斡旋にひたすら携わっている。犬・猫をはじめ多種多様な動物を保護し、年間約1万5000頭の動物を収容。譲渡率9割を誇る。施設の犬・猫を引き取って飼い主となるためには、飼育環境などの厳しい審査がある。

 ティアハイムなどの750以上の動物保護協会を束ねるのが「ドイツ動物保護連盟」だ。連盟の収入約1060万ユーロ(約12億8000万円)のうち、約900万ユーロ(約10億9000万円)が寄付・遺贈だ。ティアハイムの運営資金も企業や個人などからの寄付金が主な収入源。ティアハイム・ベルリンで働く従業員は140名、ボランティア数は600名。運営母体の財力と人力、それが日本との際だった違いだ。

 イギリスでも英国動物虐待防止協会(RSPCA)をはじめ、バタシー・ドッグズ&キャッツ・ホーム、犬専門のドッグズ・トラスト、猫専門のキャッツ・プロテクションなどの民間動物保護団体が動物保護施設を自主運営し、飼い主の斡旋などに大きく貢献している。RSPCAの収入約1.2億ポンド(約174億円)のうち、約1億ポンド(約145億円)が寄付・遺贈で賄われている。

 このように、欧米では運営資金は税金ではなく、寄付金で支えられていることが分かる。欧米諸国の国民、企業、行政などが連携しながら、動物愛護を広げるコンセンサスもシステムも浸透しているのだ。

 日本の現状や海外での取り組みを見てきた。欧米諸国が実現している仕組みを日本にも広げたいものだ。幸い自治体の取り組みが活性化し、殺処分ゼロに向う兆しがある。しかし、年間8万頭以上もの犬・猫が殺処分されている。凍てつく酷寒や強風が小さな命を脅かしている。殺処分から逃れられない儚い脈動が夜空の下で震えている。道半ばだが、私たちも良心の結束を強めていこう。
(文=編集部)

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