「検便」で健康になる! がん・うつ・花粉症などを予防できる「便」の解析システムを開発

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
384682516.jpg

腸内環境から人の健康状態を科学的に評価する便解析システムを開発(shutterstock.com)

 11月24日に開かれたがん対策推進協議会では、厚生労働省から今後の対策のあり方のひとつとして、科学的根拠に基づかないがん検診は、「不利益が利益を上回る」可能性があり、対策型検診として実施しべきではないことを検診指針に明記すべき、という方向性が示された。いまさらの感じは否めない。

 技術は常に進歩し、がん対策が後手後手に回っている。さて今回は腸内フローラとがんの早期発見の話だ、腸内フローラを改善すればするほど、「がん」や「うつ」などの発症リスクを防げる時代が来ているといわれる。便を調べて健康になる先見的な研究を紹介しよう。

検便するだけで健康になる!

 2015年3月に腸内細菌に関わるベンチャー企業、メタジェン(山形県鶴岡市)を立ち上げた慶応義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授は、腸内環境から人の健康状態を科学的に評価する便解析システムを開発した(「日経ビジネス」2016年4月11日)。

 どのような仕組みだろう?

 腸内フローラには、100種類以上の細菌が100兆個以上も生息している。脳と腸は自律神経でつながっている。この脳腸相関の働きによって、腸内フローラが免疫力や脳の働きに影響を及ぼすため、腸内環境を整えると、がん、うつ、乳がん、花粉症、リウマチなどの難病を改善・予防できるのだ。

 便解析システムは、次世代シーケンサーで腸内フローラを構成している細菌のDNAと、細菌が排出する腸内代謝産物の情報を分析し、細菌の機能を精確に調べる解析システムだ。

 従来の解析システムの欠点は、便に含まれる100種類以上の細菌の中から1つだけを採取し、抽出したDNAを1種類ずつ解析装置にかけ、1種類の細菌の特性だけしか解明できなかった点だ。そのため、100兆個のうちの80%以上の培養が難しく、解析できなかった。

便に含まれるすべての細菌のDNAを精確かつスピーディに一括解析

 この難問を打破したのが、米国のイルミナ社などが2000年代後半に開発した新型解析装置の次世代シーケンサー(NGS)だ。NGSなら便に含まれるすべての細菌のDNAを精確かつスピーディに一括解析できるのが最大のメリットだ。

 NGSは、2012年にDNA100万基当たりの読み取りコストが0.1ドル以下にダウンしたため、内視鏡やX線を使う手間を省いただけでなく、解析にかかるコスト・時間を大幅に削減したことから、腸内フローラの全貌が解明された。

 その結果、腸内細菌と疾患の関連性が明確化し、検便すれば難病の発症リスクが判明するので、発症を防いだり、抑制したりする腸内細菌を食品や薬に利活用し、健康を改善・向上させる環境が整ったのだ。

 現在、メタジェンは、研究機関や企業向けに解析サービスやコンサルティングを提供している。2年以内に消費者向けの便解析サービスをスタートアップする予定だ。福田特任准教授は、病気ゼロ社会の実現をめざしたいと期待を込めている。

眠れなければ、あえて「寝床から出ろ!」~ 良い睡眠を生む<起きている時間の過ごし方>
インタビュー「ビジネスパーソンのための睡眠学」第3回 働安全衛生総合研究所・産業疫学研究グループ部長:高橋正也氏

第1回「ビジネスパーソンのための睡眠学〜『4時間でも、ぐっすり眠れば大丈夫』は都市伝説」
第2回「すべての不眠に睡眠薬が効くわけではない~寝付けなければ『睡眠日記』で原因を探れ!」
第3回「眠れなければ、あえて『寝床から出ろ!』~ 良い睡眠を生む<起きている時間の過ごし方>」
勤務時間もプライベートも、パフォーマンスを高く保つために欠かせないのは、なんといっても健全な睡眠である。しかし、いまの日本には、睡眠時間を確保できなかったり、うまく眠れない人があまりにも多すぎる。ビジネスパーソンが正しく睡眠を取るためにはどうすればいいのか?労働安全衛生総合研究所で睡眠を専門に研究する産業疫学研究グループ部長の高橋正也氏に聞いた。

シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センタ…

中村祐輔

藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。慶應義塾大…

堤寛

福岡記念病院救急科部長。一般社団法人・福岡博多ト…

河野寛幸