7時間以下の睡眠で運転したら事故リスクは……
事実、居眠り運転は「目隠し運転」よりも事故リスクが高いという専門筋の指摘さえある。前者の場合、運転がふらつき、走行車線の維持が難儀で、中央線越えや路外逸脱の可能性が高いからだ。
また、居眠り運転の場合、速度操作もおぼつかなければ、万が一の際に反応時間やブレーキも遅れ、危険回避が行なえない。
ちなみに、推奨される睡眠7時間を下回った場合、5~6時間眠っていても事故リスクは1.9倍、6~7時間未満で1.3倍に高まるというから、免許保持者であるならば憶えておきたい数値だ。
日本の調査でも「ヒヤリ・ハット体験」が2.3倍も
わが国の厚生労働省が2006年、トラックドライバー陣を対象に実施した「過労運転等による交通労働災害防止に係る調査研究」でも次のような結果が出た。
睡眠時間が5時間未満の運転手は、5時間以上の同業者に比べて「ヒヤリ・ハット体験」が2.3倍も高く、睡眠不足による危険性が浮き彫りとされている。
「職場の掲示板に『最近の事故例』が張り出されますが、意外と多いのが公休日明けの乗務員が出庫直後に起こす朝の事故。休日で遊びすぎたり飲みすぎたりして、ついつい寝る時間が遅くなったとかが原因の事故ですね」(前出・運転手)
今回の知見についてTefft氏は、「睡眠不足と自動車事故に巻き込まれるリスクとの関係を、実際に定量化した研究はこれが初めてだと自負している」と述べている。
同報告によれば、事故原因となった運転手側の場合、一様に事故前24時間の睡眠時間が通常よりも少なく、過去7日間で睡眠スケジュールを変えた可能性が高かったそうだ。
また、居眠り運転関連の事故で最も過失が大きかった層は若齢と高齢運転者であり、直接の事故原因ではない運転手側の大半が「中年」という傾向も読み取れた。
普段は人一倍健康に気を使い、睡眠時間も規則的に順守している運転者でも、久しぶりの行楽ドライブやキャンプ行きなどに際しては準備に追われたりして睡眠時間が削られたりするものだ。そんなイレギュラーな行動時こそ要注意である。
(文=編集部)