男性の避妊法は「コンドーム」と「避妊手術」だけ?(shutterstock.com)
男性と女性が性交して受精し、妊娠して出産する――。
人類はそうして連綿と命を繋いできた。しかし、「性交の楽しみ」と「妊娠」というものは必ずしもイコールではない。女性がレイプ被害に遭った場合はもちろん、若すぎる未婚カップルや、結婚しているカップルであっても、妊娠を望まないケースはある。その場合、さまざまな避妊法によって、妊娠を防ぐことになる。
さまざまな避妊法の長所と短所
避妊の方法はさまざまある――。
子宮内システム(IUS:Intrauterine Contraceptive System)や子宮内避妊用具(IUD:Intrauterine device)は、器具を子宮の中へ入れて使用する。2~5年間、効果が期待でき、確実だ。医師による装着や除去が必要。
低用量経口避妊薬/低用量ピル(OC)は、女性ホルモンを含んだ薬剤。女性主体で避妊ができ月経の周期が規則的になったり、生理痛が軽くなったりする。正しく毎日服用する必要がある。
一方、コンドームは、男性性器にかぶせる袋。手軽に入手でき、性感染症を予防できる。装着ずれや穴開きなどで避妊に失敗することも多い。
リズム法は、基礎体温を測定することにより、避妊の目安にする方法である。毎朝測定する手間や、体調によって基礎体温が変動する可能性もある。
避妊手術は、男性の場合は精管、女性の場合は卵管を、糸で結ぶか切断する方法で、確実に避妊できる。しかし、特に女性の場合、妊娠の機能回復が難しいというデメリットが大きい。
アウターピルは、膣への射精後、緊急的に用いられる方法である。セックスの72時間以内に黄体ホルモンを含んだ薬剤を服用することで妊娠を防ぐ。この薬は市販されておらず、婦人科医に診察の上、処方してもらう必要がある。
男性用の「ピル」が開発されない理由は?
上記の避妊法の中で男性ができるものは、「コンドーム」と「避妊手術」だけである。それ以外に、ピルのような薬剤によって避妊する方法はあるのか?
ピルの生みの親であるカール・ジェラッシ氏は、「男性向けのピルを作成しようとしても、医薬開発における経済問題が開発の妨げとなるだろう」(「Priceonomics」誌の「The Economics of Male Birth Control」より)と話している。商業的な旨味が大きくない割に、臨床実験のために長い期間が必要だとされるからだという。