約5600万年前、地球に彗星が衝突!その痕跡を示す微粒子を発見!
時事通信(2016年10月15日)によれば、米国レンセラー工科大などの研究チームは、米国東海岸付近の約5600万年前の地層を質量分析したところ、彗星が地表に衝突した時に降着したとみられる微粒子を多数発見したと科学誌『サイエンス』に発表した。
研究チームは、ニュージャージー州沿岸付近の2カ所とフロリダ半島東方沖で掘削し、微粒子を採取。この微粒子は、彗星が地表に衝突した時に高温で気化したケイ酸塩などが大気中に飛散し、冷えて球形や涙滴形に固まって降り積もったと推定される。このように大気中に舞い上がった物質が地表に降り積もって形成された地層をイジェクタ層と呼ぶ。
研究チームによると、地質年代の暁新世と始新世の境界に当たるこの年代は、衝突時に彗星の核に含まれる炭素や地表の炭素を含む物質が大気中に放出されたため、火山活動による二酸化炭素の放出や海底のメタンハイドレートによるメタン放出が誘発された。
その帰結として、急速な温暖化とともに、DNAの突然変異も起こり、哺乳類や陸上植物の繁栄につながったと推定される。調査地点が増えれば、クレーターを特定できる可能性があるという。
ちなみに、隕石や彗星が衝突したと推定される痕跡は多い。月のような衛星ができるジャイアントインパクト説や、巨大な天体が衝突したため、天王星の自転軸が大きく傾いているとする仮説もある。
隕石は生命の種を播きながらも、人類を脅かし続ける
隕石落下の最古の記録は中国だ。古文書『隋書』によると、616年1月14日、隕石が反乱軍陣地の攻城塔を破壊し、10名が死亡。1490年に山西省に隕石が落下し、1万人以上の人民が犠牲になった。
20世紀のツングースカ大爆発も有名だ。1908年6月30日7時2分頃、ロシア連邦クラスノヤルスク地方のツングースカ川上流の上空で、直径60~100mもの巨大隕石が爆発。その衝撃力は、TNT火薬換算で10~15メガトン(ビキニ水爆級)と推定されている。
ニュートン力学によれば、隕石衝突のエネルギーは、隕石の速さが2倍になれば、エネルギーは4倍。隕石の直径が2倍になれば、エネルギーは8倍になる。
隕石は生命の種を播きながらも、人類を脅かし続ける。隕石、恐るべし!
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。