広域災害では、自慢の屋上ヘリポートも後回し!?
代表的なのが、災害時に限れば「低層階住民のほうが勝ち組になる!」という現実的な価値観からの見解だ。
事実、タワマン登場期は高層階住民の災害時対策として「屋上のヘリポート完備」をうたうチラシも見られたが、東京消防庁が所有するヘリは中型3機(最大14席)と大型3機(同27席)の計6機にすぎないという。
同時火災の発生時、治療の優先順位を決めるトリアージ(緊急度判定)上も病院や学校などの消火活動が優先されるのは道理。危惧されている首都直下型の地震が発生したら……自慢のヘリポートも顔色なしだろう。
また、やはり過去記事で紹介したのが、16階以上の高層階住民が心停止を起こした場合の生存可能性が「ほぼゼロ」、25階以上では「ゼロ」という海外専門筋の複数知見だ(参考:16階以上で生存の可能性「ほぼゼロ」! 高層階に住む人は心肺停止の際の生存率が低いことが判明)。
世界中の高級ホテルを泊まり歩くような、真のセレブ陣は高層階の空き室を奨められても、自ら低層階を希望するという話はよく聞く。
もちろん、『砂の塔』の描写にも当然ながらドラマ特有の誇張部分はあるだろう。実際、ドラマ発の風評被害を懸念するタワマン住民の投稿もみられる。
が、タワマン羨望期が過ぎて「いいのは眺めだけ(それを5分で飽きる)」と外部の傍観者からは揶揄されて、棟内でも階層格差に悩まされるのではあれば、それは「砂の器」だろう。
菅野さん扮する「亜紀」の不安劇を鑑賞しながら、タワマン購入を考え直している方も意外といるかもしれない。
(文=編集部)