AIの実用化が、医師の負担を減らし、患者との信頼関係も深める
たとえば、東京大学医学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野悟センター長は、2015年7月にIBMのAI「Watson(ワトソン)」を導入。
Watsonが血液腫瘍を中心とする2000万件以上の研究論文や1500万件を超える薬剤の特許情報を学習し、患者の症状やゲノム情報から原因疾患と治療法を探索・推論する診療システムの開発をめざししている。
また、自治医科大学地域医療学の石川鎮清教授は、ディープラーニング(深層学習)を活用した総合診療支援システムのホワイト・ジャックを複数の企業と共同開発。
ホワイト・ジャックが自治医科大学に蓄積された8000万件の診療情報やレセプトデータの他、鑑別の感度・特異度に関する研究論文を学習し、患者の症状から複数の鑑別疾患を挙げながら、発症の確率を割り出す診療システムを構築しつつある。
このように推論・学習するコンピュータやAIの実用化が進めば進むほど、医師の負担が軽減され、医師はより効率的に高精度の確定診断が行えるので、患者との信頼関係もますます深まるにちがいない。医師をサポートするコンピュータやAIの活躍に期待しよう。
(文=編集部)