大口病院で見えた看護師の「闇」と目標10万人「特定看護師」との間に横たわるもの

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特定看護師は医療現場にどのようなイノベーションを起こす?

 今後、特定看護師は、どのような役割を期待されているのだろう?

 去る2月6日、「日本救急医学会関東地方会学術集会」が栃木県総合文化センターで開催された。集会に参加した医師や特定看護師教育に関わる教育者が「看護師特定能力事業の期待と展望」をテーマに、特定看護師制度の現状や課題についてパネルディスカッションした。

 国立病院機構東京医療センター クリティカルケア支援室の濱厚志医師によると、東京医療センターでは患者の病態を深く理解し、治療の優先度を決定したうえで、看護師の特定行為を実施するという。

 現在は、特定行為以外でも、患者や患者家族への食事指導など看護師のケア・アセスメントに努めながら、診療とケアの橋渡しという視点に立つ総合医療をめざしていると報告した。

 帝京大学医学部救急医学講座の安心院康彦医師は、特に救急時に医師に集中しがちな緊急度の高いタスクの一部を特定看護師に任せれば、チーム医療の対応力がより向上すると発言。

 さらに、特定看護師は医師が気づきにくい看護師ならではのクオリティの高いトータルケアを提案できるだけでなく、需要が高まっている在宅看護や訪問看護との連携にも欠かせない存在になると強調した。

 また、特定看護師を増やす取り組みについて、自治医科大学特定行為研修センターの村上礼子センター長は、特定看護師を志す看護師ら約120人が研修を同時に受けられるように、eラーニングなどを導入したり、教育プログラムを充実させながら、教育を受けやすい環境整備を進めていると語った。

 さらに、村上礼子センター長は、特定看護師を安定的に輩出する強い教育機関を形成するためには、病棟で勤務する医師や看護師の理解と協力が不可欠になるため、教育者自身も強い意志をもち、特定看護師制度を盛り上げていく覚悟が必要だとも述べた。

 看護師は、健康の増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和の責任を担う。医師の指示によって検査・治療・処置・与薬を支援しつつ、様々な患者ケアに携わる。医療現場で働く看護師はもちろん、救急看護、在宅看護や訪問看護に携わる看護師も少なくない。

 その高度化、専門化を進める特定看護師の動きと大口病院などで垣間見える看護師の闇の間に何があるのか。より高み目指す志やモチベーションを維持し日々研鑽を続ける看護師、あるいは専門職としての職務を過不足なく果たす圧倒的多数の看護師、気力やモチベーションを失いつつも働き続けざるをえない疲弊した看護師たち。そのすべてが患者の命に直結している。

 特定看護師の志向と同様にいやそれ以上に、看護職の底辺をどのように引き上げ、闇の部分に光をあてることができるのかという対策が重要だ。看護教育のパースペクティブがいま改めて問われている。
(文=編集部)

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