「死なせてほしい」と懇願される訪問看護師の心の闇〜映画『或る終焉』で描かれる驚愕の決断

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映画『或る終焉』©Lucía Films–Videocine–Stromboli Films–Vamonos Films–2015 ©Crédit photo ©Gregory Smit

 近年、高騰する医療費の抑制するため、療養病床の削減や入院期間の短縮などによって、終末期を含む患者の在宅・施設ケアへの移行が促されている。これは将来、家族または自分自身が在宅ケアを受ける可能性が高くなったともいえるだろう。

 在宅ケアを行う際にはチームが組まれる。例えば、がんの在宅緩和ケアチームは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、歯科医師、ケアマネージャー、介護士などで構成される。その中で中心的役割を果たすのは、患者に必要な医療を判断し、医師・介護ヘルパーとの調整も行う訪問看護師だ。その業務は、清拭・入浴・排せつ介助などの療養上の世話、医師の指示下での医療処置、医療機器管理、病状観察、リハビリテーションなど多岐に渡る。

在宅患者への感情移入は家族に疎まれることもある

 映画『或る終焉』では、この訪問看護師に焦点を当てている。主人公のデヴィッドは、主に終末期にあるエイズ、末期がん、脳卒中などの在宅患者を担当する看護師だ。患者が亡くなるとまた次の患者の家に派遣される。

 息子の死をきっかけに妻や娘と疎遠になり、今は一人で暮らすデヴィッド。彼は孤独感から、患者が望む以上に患者との親密な関係を必要としていた。そして時にそれは、患者の家族に「一線を超えている」と誤解されることにもなるのだった。

 ある日、彼は、末期がん患者のマーサに安楽死を幇助してほしいと頼まれる。患者の心に寄り添いながら看護を行う一方で、ある暗い過去を持つ彼は、その決断に苦悩する。

 音楽は使われず、長回しのカメラが客観的かつ冷静に看護の様子をとらえていく。だが、その静かな世界の向うには、誰も予測することができない衝撃が待ち受けている。

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