パワハラの相談が過去最多に!(shutterstock.com)
Appleの女性エンジニアが、同社CEOのティム・クック氏に送ったメールが話題になっている。その内容は、セクハラ、パワハラ、人種差別、男女差別が日常的に行われている職場の改善要求だ。
ある日の午前中、職場で男性社員たちが性的な話題の雑談を始めた。以前にも同様のことがあった時、彼女は上司に改善を申し入れていたものの、何も変わることはなかったという。
クック氏はこのメールに返信はしていないが、女性社員の訴えに対して意見を求めるスレッドをニュースサイト「Mic」が立てたところ、現社員と元社員が体験を書き込み、社内の実情が明るみになった。
パワハラの相談が過去最高
職場のハラスメント(嫌がらせ)は、日本でも問題化している。厚生労働省の調査報告によると、2015年度の民事上の労働相談のうち、パワハラ(パワー・ハラスメント)の相談が前年比7.0%増で、過去最多になったという。
相談件数は6万6566件。わずか10年前の2004年度(1万4665件)の、実に約4.5倍だ。これには、パワハラの社会認知が高まり、相談しやすくなった背景があるものの、パワハラによるトラブルで休職する人が増えているのも実情だ。
会社の休職理由は、パワハラだけではない。ハラスメント、つまり、さまざまな場面での嫌がらせやいじめは多様化しており、今や30種類以上のハラスメントがあるといわれる。
厚労省の類型によると、いじめのイメージの攻撃的な言動以外に、仲間外れなどの「人間関係の切り離し」や、遂行不可能なことを要求する「過大な要求」、逆に能力に見合わない程度の低い仕事を命じる「過小の要求」、そしてプライベートに過度の立ち入る「個の侵害」、と線引きの難しいところばかりだ。