米国歯科医師会は「エビデンスが弱いことは認めるが」……
ADAは声明で、フロスは「プラークを落とす」ものであり、「歯間の汚れを落とすことが証明されている」としている。その一方、「フロスの有効性を裏づけるエビデンスが弱いことは認めるが、研究の対象者らがフロスを正しく使っていないためだ」としている。
AP通信によると、ADAはフロス製品の認定証プログラムを実施しており、製造業者は1社1万4500ドルの査定費用をADAに払い、認定後は年間3500ドルの追加費用を払っている。ADAは、このプログラムにより利益は生じていないとしている。
安易にフロス無効論が出そうな雲行きだが、顕微鏡歯科の立場からデンタルみつはしの三橋純院長は次のように語る。
「当院では歯肉が後退していない方にはフロスの使用を強くお勧めしています。歯周病などで歯肉が下がってしまっている方には歯間ブラシです。 統計的に有意差が出ないとの指摘はよく理解できます。やり方の差が大きすぎるのだと思います。 逆に言えば、上手くやれば非常に効果が高く、フロスでなければプラークは落とせないと思うほどです。少なくとも歯ブラシでは歯間部のプラークは落ちません」
顕微鏡で患者のプラークを毎日見ているだけに説得力がある。
「虫歯予防に関しては『どんなにブラッシング指導しても虫歯の数は減らない』と言われるくらいです。統計的に有意義なのは糖制限とフッ化物使用です。ですからフロスにしても歯間ブラシにしても、糖制限をしなければ意味はないと思います」
単にフロスの是非論だけで虫歯予防を語ってもしょうがないということのようだ。
(文=編集部)