オルガスムは健康にいい? 年齢に関係する?
1997年に『イギリス医師会雑誌』に掲載された『Sex and Death, Are They Related?』という論文によれば、45〜59歳の男性918人を対象にした10年間にわたる「オルガスムの追跡調査」を実施したところ、週に2度以上のオルガスムに達している男性は、そうでない男性と比べると、調査した全疾患の死亡率がおよそ50%だった。
続いて2001年に実施した「オルガスムの追跡調査」では、週に3度以上の性交を行う男性は、まったく行わない男性に比べると、心臓発作や脳梗塞の罹患リスクがおよそ50%だった。
このような実証研究は多くないが、2つの調査結果を見るかぎり、オルガスムと健康の相関関係は低くないようだ。では、オルガスムと加齢の関係はどうだろう?
1980年にマスターズ・W・Hとジョンソン・V・Eが行った研究発表によれば、男女ともに加齢とともに性ホルモンであるテストステロンの産生が減少するため、性への関心が薄れ、性的反応が鈍化することから、オルガスムに伴う紅潮、筋肉緊張、直腸の収縮などが衰退し、陰茎や膣の収縮回数が激減する。その結果、男性は、射精回数、射精する精液の量や飛距離が減少し、射精後の不応期も長くなるため、オルガスムの達成感が弱まる。
女性は、卵巣から性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌が激減し、腟への血流が減少するので、性欲が減退し、腟開口部の陰唇と腟壁の弾力が失われる。その結果、腟分泌液が減少し、性交中の潤滑さが阻害されることから、性交が心地よく感じられなくなる。
このような生理的な機序から明らかなように、男女ともに加齢に伴ってオルガスムが減衰するのは避けられない。