シリーズ「夏の健康3大リスク・熱中症・紫外線・食中毒」第2回

夏本番、カンピロバクターによる食中毒が急増中! 冷蔵庫を過信せず生肉には特に注意を

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食中毒の季節は生肉に注意(shutterstock.com)

 水無月の6月から文月の7月へ、いよいよ夏本番。沖縄・奄美を封じ込めた梅雨前線はぐんぐんと北上し、日本列島を鈍色(にびいろ)の空で覆っている。束の間の晴れ間をくぐり抜けるように、毎日飛び込んでくるのは、食中毒の物騒なニュースばかりだ。

 名古屋市中川区の丸亀製麺で18人が食中毒(6月15日)、さいたま市の仕出し弁当店で12人からサルモネラ菌を検出(6月20日)、渋谷区で園児ら43人がノロウイルスによる集団食中毒(6月20日)、「ミシュランガイド一つ星」を獲得した鎌倉市の会席料理店「北鎌倉茶寮 幻董庵」で14人が食中毒(6月20日)……。

 梅雨時に襲いかかる食中毒の惨状は実に骨身に沁みる。厚生労働省は、食中毒菌を付けない、増やさない、やっつけるを「食中毒予防の3原則」に掲げ、注意を呼びかけている。つまり、手洗いの徹底、食品の低温保存、肉や魚などの生鮮食品の加熱だ。

生肉に付着する細菌「カンピロバクター」はなぜ怖い?

 厚生労働省『食中毒事件一覧速報』によれば、2015年に食中毒に罹った人は2万2718人。発生件数1202件のうち、約3分の1(431件)は細菌が原因。特に鶏、牛、豚などの腸内に生息する細菌カンピロバクターは、発生件数の7割以上(318件)を占める”主犯”だ。

 かつて食中毒といえば、鶏卵に繁殖するサルモネラ菌が多かった。だが、鶏に接種したワクチンが普及したことから、サルモネラ菌による発生件数は10年前の6分の1 (24件)にまで減少。 一方、カンピロバクターによる発生件数は10年前の200件から600件へと年々漸増している。

 カンピロバクターは、鶏、牛、豚などの家畜の流産、胃腸炎、肝炎を引き起こすカンピロバクター・ジェジュニやカンピロバクター・コリなどの細菌だ。ヒトや動物の腸管内だけで増殖するが、乾燥に弱く、加熱で死滅する。

 鶏肉(鶏刺し、タタキ)や牛レバーの生食をはじめ、井戸水、湧水、簡易水道水などの消毒が不十分な飲用水による感染が多い。1970年代に下痢患者から検出され、1978年に米国で飲料水から約2000人が感染している。

 潜伏時間は1~7日(平均2~3日)。下痢(水様便、血便、粘液便)、腹痛、37.5~39.5℃の発熱のほか、頭痛、悪寒、倦怠感、筋肉痛などを示す。抵抗力の弱い乳幼児や高齢者が重症化しやすい。ギラン・バレー症候群やフィッシャー症候群を起こすリスクもある。

 カンピロバクターによる食中毒は、さまざまな重篤な疾患につながるので侮ると怖い。感染予防のポイントは――。

 まず、鶏肉(鶏刺し、タタキ)や牛レバーの生食を控え、十分に加熱して食べる。調理器具は使用後によく洗い、熱湯消毒して乾燥させよう。二次汚染を防ぐために、生肉を扱う調理器具と調理後の料理を扱う器具は分ける。生肉に触れた後は手指を十分に洗浄する。冷蔵庫内では生の食肉と他の食品を接触させないように注意しよう。また、井戸水や沢水などの未殺菌の飲料水を飲まない。乳幼児はイヌやネコへの接触感染もあるため、便などに触らせないことも大切だ。

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