新ビジネス「レンタルフレンド」に見る心の障害とは? 増え続ける「コミュ障」という現代の病

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コミュ障の典型はアスペルガー

 アメリカの有名な心理学者、アブラハム・マズローが主張した「欲求の5段階説」によると、基本的な衣食住が満たされ、生きる上での安全が確保されると、人はより高い次元の欲求として、友情や愛情、家族を求めるようになる。つまり、人とのコミュニケーションだ。これを「社会的欲求」という。

 ところが、この時代、コミュニケーションが苦手な大人が増えている。人とうまく会話しづらい、人見知り、一人でいるのが好きという人は少なくないだろう。それでも、職場や学校、家庭などで、大きな摩擦なく生活できていれば、その人はそういう「性格」「性質」なのだといえる。どの社会にもシャイな人はいるものだ。

 ただし、人間関係でトラブルがよく起きる、心身に苦痛がある、仕事や学校に通い続けられないといった生活支障があれば、何かつまづきになっている原因を考えたほうがいい。場合によっては、そこに「障害」や「病気」が隠れている可能性がある。

 人とのコミュニケーションに問題を感じる人は、「コミュ障」かもしれない。最近、主にネット上で使われている「コミュニケーション障害」の略だ。いかにもな名前だが、本来のコミュニケーション障害は、言語学的な運動機能障害を指す。うまく話せない、言葉を発せないといった障害に対し、主に言語聴覚士とリハビリをして、改善に向かってアプローチしていく。

 しかし、コミュ障は、それとは違う。話し下手、会話がかみあわない、一人でいるのが好き、友だちとは表面上のつきあい、恋愛経験がない、友だちがいない……、このような傾向があり、とにかく人とコミュニケーションを取るのが苦手な人がコミュ障だ。

 人知れずそういう自分に悩むタイプもいれば、自覚はないけれど他人から見てそうだというタイプもいる。

 コミュ障に見え隠れするのは、言語学的な問題とは異なる障害だ。典型的なのはアスペルガー障害だろう。知能も言語的にも問題はなく、勉強も仕事もできるのだが、対人関係はめっぽう苦手な障害である。

 最近は、ADHD(注意欠陥多動性障害)やADD(注意欠陥障害)も、対人関係が苦手なことがわかってきている。適応障害で、人とのコミュケーションに問題が生じる場合もある。

 これらは大きく広範性発達障害に分類されるが、決してひとくくりにはできない。症状が類似していて見極めが難しく、診断には慎重さが必要とされている。本気のコミュ障であれば、専門科の見立てにより改善の糸口が見えてくるかもしれない。 
(文=編集部)

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