>  >  > 免疫チェックポイント阻害剤がもっと効くようになる!

がん治療、免疫チェックポイント阻害剤の有効性を高める新たな発見〜1万例を超えるゲノム解析データからわかったこと

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1万例を超えるがんのゲノム解析データを分析(shutterstock.com)

 がんは今や、国民の2人に1人が罹患する、大変身近な疾患となっています。診断技術や治療の進歩によって一部のがんでは著しい治療成績の向上が認められるものの、いまだにがんの多くが不治の病であることは、国民の3人に1人はがんで死亡するという数字にも表れています。とくに多くの進行がんでは、ほとんど有効な治療が見いだせていないのが現状ですが、最近、そうした進行がんに対して、「がん免疫」を活性化する薬剤が、しばしば顕著な治療効果を示すことが「NEJM」誌などに相次いで報告され、また我が国においても一般診療に導入され広く普及し始めたことから、がんの克服にむけて大きな期待が寄せられています。ニボルマブやペンブロリズマブなどに代表される、いわゆる「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる薬剤です。

 生体には、本来、細胞ががん化した際に、これを排除する免疫のしくみ、いわゆる「がん免疫」が備わっていることが以前から知られており、この仕組みの破綻ががんの発症に大変重要な役割を担っていることが、最近の精力的な研究によって明らかにされつつあります。こうした研究によれば、がん細胞は、しばしば、「免疫チェックポイント」と呼ばれる分子を利用して、免疫システムの監視から巧妙に逃れていると考えられています。免疫細胞(具体的には細胞障害性T細胞)に発現するPD-1と、そのリガンドとして知られるPD-L1は、がん細胞の免疫からの回避に重要な役割を担う代表的な免疫チェックポイントで、PD-L1を発現するがん細胞が、PD-1との結合を介して、その殺傷にあずかる細胞障害性T細胞の機能を抑制することによって、免疫監視から逃れているというわけです。

 ニボルマブやペンブロリズマブは、いずれも、PD-1を標的として開発されたヒト化抗体製剤ですが、これらの薬剤によるチェックポイント機能の阻害が、様々ながん種において(しばしば末期のがんに対してさえ)顕著な臨床効果を示すことは、PD-1/PD-L1を介したがん免疫からの回避が、がんの発症に大変重要な役割を担っていることを強く支持しています。しかし、こうしたがん免疫からの回避に際して、がん細胞が、いったいどのようにしてPD-L1を発現するのかについては、十分理解されていません。また、奏功率が概ね20%程度のとどまる一方、年間の治療費が3000万円以上にのぼるニボルマブを用いた治療については、医療経済への深刻な影響も懸念されることから、その治療効果を正確に予測し、効果の期待される症例に選択的に治療を行うためのバイオマーカーの開発が強く望まれています。

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神戸市垂水区 名谷病院 内科勤務。1987年 産…

吉田尚弘

広島大学名誉教授。1941年、広島市生まれ。広島…

難波紘二

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

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