「肥満」「肥満ぎみ」が家族の多数を占めると……
もう一方の研究は、オランダの5~6歳の小児2800人強を対象に行なわれた。結果、小児らの親のうち、約4割の層が「わが子の体重」をおおむね正しく推定できたという。
ところが「過体重または肥満」の子をもつ親の82%は、その体重数値を過小評価している実態も判明した。
さらに、家族の<半数以上>が過体重や肥満気味である家庭と、<半数未満>の家庭とを較べた場合も、前者の親のほうが、子どもの肥満を過小評価している傾向が高かった。
富裕層は子どもの肥満を正しく認識
貧富の違いに表われた肥満小児の割合も興味ぶかい。
貧困家庭層の肥満児が16%に対し、富裕層は11%と、肥満率が親の社会経済的状況によっても左右される。加えて子どもの「肥満」を正しく認識できている親の割合も、3分の1を占めた富裕層に対し、貧困層の親たちの認識率は20%に過ぎなかった。
研究に臨んだフローニンゲン大学医療センター(オランダ)のGrietje Lijkleme氏らはいう。
「過体重の子どもを正しく認識するという点において、富裕層が優れている傾向は判明した。しかし全体的にみれば、親がそれを正しく認識できているかどうかは、家族に占める過体重者の割合に影響しているようだ」
日本の場合、文部科学省が発表した『学校保健統計調査速報』(平成25年度)によれば、平成18年以降減少傾向にあった「肥満傾向児」は同23年度からは横ばい状態をみせている。
この時点で、肥満傾向の子どもの割合は「東北地方」が従来比で高く、男女比では男子の割合が女子よりも高かった。
最近では、大人と同じ肥満が原因の「小児生活習慣病」という言葉も生まれている。
子どもの場合、厄介なのは、乳幼児期・幼児期・児童期と、その時々の成長ぶりに応じたスケールを用いる必要がある。
大人の尺度は流用できないため、成長に応じた客観的な適性値を把握しなければならない。お子さんのいる家庭では、ふだんから気にかけておられるだろうか?
(文=編集部)