連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第10回

頭痛薬「アセトアミノフェン」と「非ステロイド系抗炎症薬」が効くワケ

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「バファリン」や「イブ」「ロキソニン」などの非ステロイド系抗炎症薬

 非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs )のグループには、アスピリン(バファリンなど)、イブプロフェン(イブなど)、ロキソプロフェン(ロキソニンなど)などがあり、みなさんもよくご存知のタイプの薬剤と思います。

 ドラックストアにある頭痛市販薬は数多くの種類があるので、患者さんは自分にあった市販薬の薬剤成分と自分に効果のない市販薬の薬剤成分を比べることで自分に効果のある成分がわかると思います。ぜひ一度確認してみて下さい。

 では、NSADIsと呼ばれるグループはどこに作用して鎮痛効果を示すのでしょうか。現在、NSADIsと呼ばれるグループは図1に示すように、末梢神経から中枢神経へ行く経路に作用して鎮痛効果を発揮することが知られています。

 まず、脳の頭蓋骨の下にある硬膜(脳を守っている髄膜のうち一番外にある膜)の末梢血管や末梢神経で炎症が起こると、アラキドン酸という物質が遊離し、上昇を来たします。それがシクロオキゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素を介してプロスタグランジンを活性化します。

 この活性化されたプロスタグランジンは、炎症や浮腫を増悪させるため、この経路のCOXを抑制する薬物としてNSADIsが開発されてきました。またステロイドはこのアラキドン酸カスケードの一番初めの所に作用することが知られています。よって、アセトアミノフェンとNSADIsを併用して配合する市販薬は、作用機序の面から考えても効果のあることがわかります。

 ただし、注意が必要なのは、COXにはCOX1とCOX2の2種類が知られていますが、COX1の重要な作用として胃粘膜保護作用や腎機能保護作用があります(図2参照)。NSADIsはこのCOX1の重要な作用も抑制するので、しばしば消化管出血や、胃潰瘍を起こしたり、腎機能障害を来したりする副作用が問題となることがあります。これらの副作用に悩む患者さんには、その副作用を克服する目的で近年COX2だけを選択的に抑制するNSADIsとしてセレコキシブが使用されることが多くなっています。

 最後に、片頭痛急性期治療薬の主役であるトリプタンは、どこに作用しているのでしょうか。トリプタンについては、次回に詳しく説明したいと思います。今回は、鎮痛薬の作用機序について簡単に説明しました。みなさんも普段使っている頭痛薬の作用と副作用について、知っておく事は重要なことです。

●参考文献:慢性頭痛の診療ガイドライン〈2013〉日本頭痛学会監修


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西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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