「バファリン」や「イブ」「ロキソニン」などの非ステロイド系抗炎症薬
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs )のグループには、アスピリン(バファリンなど)、イブプロフェン(イブなど)、ロキソプロフェン(ロキソニンなど)などがあり、みなさんもよくご存知のタイプの薬剤と思います。
ドラックストアにある頭痛市販薬は数多くの種類があるので、患者さんは自分にあった市販薬の薬剤成分と自分に効果のない市販薬の薬剤成分を比べることで自分に効果のある成分がわかると思います。ぜひ一度確認してみて下さい。
では、NSADIsと呼ばれるグループはどこに作用して鎮痛効果を示すのでしょうか。現在、NSADIsと呼ばれるグループは図1に示すように、末梢神経から中枢神経へ行く経路に作用して鎮痛効果を発揮することが知られています。
まず、脳の頭蓋骨の下にある硬膜(脳を守っている髄膜のうち一番外にある膜)の末梢血管や末梢神経で炎症が起こると、アラキドン酸という物質が遊離し、上昇を来たします。それがシクロオキゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素を介してプロスタグランジンを活性化します。
この活性化されたプロスタグランジンは、炎症や浮腫を増悪させるため、この経路のCOXを抑制する薬物としてNSADIsが開発されてきました。またステロイドはこのアラキドン酸カスケードの一番初めの所に作用することが知られています。よって、アセトアミノフェンとNSADIsを併用して配合する市販薬は、作用機序の面から考えても効果のあることがわかります。
ただし、注意が必要なのは、COXにはCOX1とCOX2の2種類が知られていますが、COX1の重要な作用として胃粘膜保護作用や腎機能保護作用があります(図2参照)。NSADIsはこのCOX1の重要な作用も抑制するので、しばしば消化管出血や、胃潰瘍を起こしたり、腎機能障害を来したりする副作用が問題となることがあります。これらの副作用に悩む患者さんには、その副作用を克服する目的で近年COX2だけを選択的に抑制するNSADIsとしてセレコキシブが使用されることが多くなっています。
最後に、片頭痛急性期治療薬の主役であるトリプタンは、どこに作用しているのでしょうか。トリプタンについては、次回に詳しく説明したいと思います。今回は、鎮痛薬の作用機序について簡単に説明しました。みなさんも普段使っている頭痛薬の作用と副作用について、知っておく事は重要なことです。
●参考文献:慢性頭痛の診療ガイドライン〈2013〉日本頭痛学会監修