ホルモン補充療法に副作用は?
――ホルモン補充療法には副作用がありますか?
頭痛、むくみ、吐き気、不正出血、乳房の張りや痛み、腹部の張りなどの症状が現れることもあります。また長期に渡って使用していると、血栓症が起こる場合があります。血栓症とは血管内にできた血のかたまり(血栓)が血管に突然つまる病気で、命に関わることもあります。そのため、リスクを最低限に抑える「最少有効量」、つまり必要最低量の薬を使用します。
――漢方治療の方法を症状別に教えてください。
「お血」による症状がメインの場合は、「駆お血剤」である桂枝茯苓丸や当帰芍薬散を使うことが多いです。精神的に不安定になりやすく、「お血」による症状も出ている場合は加味逍遥散を選択したりします。めまいや頭痛などの「水毒」症状がメインの場合は、利水作用がある五苓散や苓桂朮甘湯を用いたりします。
漢方やホルモン補充療法が合わない場合はプラセンタ療法
――プラセンタ療法のメリットを教えてください。
漢方やホルモン補充療法が合わないという患者さんに使用することがあります。漢方の味が苦手、1日3回服用が面倒、また下痢などの症状を訴える患者さんに勧めているのがプラセンタ療法です。ほてり、疲れやすい、元気がでない、ぐっすり眠れないなどの症状の患者さんに効果的です。プラセンタを美容や健康の増進のために使用する場合は自費ですが、更年期の症状の方には保険も適用されます。
またプラセンタ療法以外にサプリメントを使用する場合もあります。ミネラルや鉄分、亜鉛を補いう総合ビタミン剤や、大豆イソフラボンやピクノジェノールなどのサプリメントが効果的です。ピクノジェノールは、フランス南西部のボルドー地方の大西洋岸に生息する海岸松の樹皮より抽出される水溶性フラボノイドのことです。優れた抗酸化作用を発揮することで注目され、この抗酸化作用はビタミンCやEよりも強いことがわかっています。
――最新の検査法や治療法は何でしょうか?
ピルの種類が若干増えた程度で、特に最新の治療はありません。基本的には足りないホルモンを補うという方法になります。
早発卵巣機能不全を予測する検査として、いくつかのホルモン検査のなかで近年、注目されているのが AMH(抗ミュラー管ホルモン)を測る検査です。 AMHは発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。血中AMHの値は、卵巣内にどれぐらい卵の数が残っているのかを示し、つまり卵巣の予備能の目安です。ただし、数値が表すのはあくまでも卵子の在庫の目安で「妊娠能力」の目安にはなりません。
(インタビュー・文=夏目かをる)
清水なほみ(しみず・なほみ)
ポートサイド女性総合クリニック「ビバリータ」院長
2001年、広島大学医学部医学科卒業。広島大学附属病院産婦人科、中国がんセンター産婦人科、ウィミンズウェルネス銀座クリニック、虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。
日本産科婦人科学会専門医、 日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー。
所属学会:日本産婦人科学会・日本性感染症学会・日本思春期学会・日本不妊カウンセリング学会