足底筋膜炎にはアキレス腱のストレッチ
足の裏が激しく痛む「足底筋膜炎」も、よく見られる疾患である。朝起きて最初に体重をかけたときに強く痛み、歩き始めると和らぐのが特徴だが、慢性化すると痛みが続くこともある。これも足のアーチ構造が崩れ、足の裏でうまく衝撃を吸収できなくなったために生じる炎症だ。
クリニックでは、まず「アキレス腱のストレッチ」を指導する。立った姿勢で壁に手をつき、脚を前後に開いて前の膝をゆっくり曲げる。後ろの足はかかとを床につけ、はずみをつけずにゆっくりと伸ばす。これだけで症状が改善する人もいるという。
このほか、アーチ構造を支えるために、土踏まずの部分が立体的になったインソールを使用するのも効果がある。インソールは保険適用で、ひとりひとりの足の形に合せて義肢装具士が作成する。
痛みが強い場合にはステロイド注射で炎症を抑えるほか、ナイトスプリント(夜間に装着するアキレス腱を伸ばすための装具)、専用の医療機器を使用した体外衝撃波治療(衝撃波を疼痛部位に宛てることで、痛みを軽減させる治療法)も提供している。
「大切なのは、アキレス腱が硬くならないようにすること、それから骨のアーチ構造を保つようにすることです。ストレッチでアキレス腱を伸ばしたり、自分の足に合うしっかりしたインソールを使うことが、再発予防につながります」
クリニックには、すでにいくつかの病院を受診していていながら、原因がわからず痛みどめや湿布を出されるだけですぐに再発を繰り返す「フットケア難民」も多く来院する。長年苦しんできた外反母趾や巻き爪が、手術で根治できたと喜ぶ患者も多いという。
「もちろん手術に抵抗があるという患者さんもいらっしゃいます。どの治療法を選択するかは、最終的には患者さんが決定することです。私たちの仕事は、根本の原因がどこにあるのかを探ること。それから、可能な限りの選択肢を探し、提示することです」
患者さんが最適な選択ができるよう、各治療法のメリットやデメリットもしっかりと伝えるようにしているという。