インタビュー フットケアで健康管理 第2回 日本トータルフットマネジメント協会会長 西田壽代

爪の切り方から足のセルフチェックリストまで フットケアのパイオニアが足からの健康法を指南!

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足のトラブルの悩みが少しでもあれば、医療機関や足の専門家に気軽に相談してほしい

 足の病変は複雑だ。単にタコやウオノメを削ればいいわけではない。角質がぶ厚く硬くなっていれば、角質の下に治りにくい潰瘍ができているケースもあるからだ。

「まず足をいつも清潔にしてください。足をよく見て、手で触って、何かトラブルがないかを毎日、こまめにチェックするのがフットケアの第一歩です」

 常日頃から足への関心と気づかいを強調するのは、一般社団法人・日本トータルフットマネジメント協会会長の西田壽代・看護師だ。

 西田看護師は勧めるのが、<足のセルフチェックリスト>、<フットケアのチェックリスト>、<爪の切り方のポイント>だ。まず、チェックしてほしい。

<足のセルフチェックリスト>

□しびれや痛みがある。
□ほてりがある。
□つりがある。
□冷たい。
□色が悪い。
□傷が治りにくい。
□傷が化膿しやすい。
□爪が厚くなったり、変形している。
□深爪をしている。
□巻き爪がある。
→糖尿病と診断されていて、上記の項目にチェックがいくつか入った場合は、足の壊疽の発症を防ぐためにフットケアが必要になる。

□うおのめ、たこが痛む。
□皮膚が乾燥し、ひび割れている。
□切り傷や引っかき傷がある。
□靴ずれが痛む。
□水ぶくれがある。
□腫れがある。
□色が悪い。
□傷が化膿しやすい。
□悪臭がある。
→糖尿病の神経障害があると診断されていて、上記の項目にチェックがいくつか入った場合は、足の壊疽の発症を防ぐためにフットケアが必要になる。

□冷たい。
□しびれがある。
□色が悪い。
□ふくらはぎ、お尻、太ももに疲れ、だるさ、痛み、こむら返りなどの症状がある。
□歩く時、びっこを引く。
□安静にしている時に、足に疼痛がある。
□喫煙している。
□血圧が高い。
□太っている。
□高脂血症である。
□血糖値が高い。
→上記の項目にチェックがいくつか入った場合は、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の発症を防ぐために循環器系の専門医を受診することを勧める。

□足の裏がガサガサしている。
□足の裏に白いスジ状の皮膚のしわがある。
□足の指にかゆみがある。
□足の指が赤く腫れ、熱がある。
□足の指の間がジクジクしている。
□靴を履くと痛み、歩くのが辛い
□爪が白色や黄白色に変色している。
→上記の項目にチェックがいくつか入った場合は、水虫(足白癬/あしはくせん)の発症を防ぐために皮膚科の専門医を受診することを勧める。

<フットケアのチェックリスト>

□足をよく洗い乾燥させて清潔さを保つ。
□洗う時のお湯の温度は37~39℃程度にする。
□足の変化を毎日、観察する。
□表面だけでなく、指の間や足の裏もよく目で見て、触って調べる。
□常に靴下を履いて歩く。
□清潔な靴下を身につける。
□継ぎ目や縫い目がない靴下を履く。
□常に靴下を履いて靴を履く。
□靴は自分の足に合ったサイズを選ぶ。
□靴を履いた時に、痛みがないかを確認する。
□靴を履いた時に、足の指が当たらないか、窮屈でないかを確認する。
□かかとが高すぎないかを確認する。
□ひもやマジックテープで固定する靴を選ぶ。
□足の甲が当たらない靴を選ぶ。
□靴を履く時は、靴の中に小石などの異物が入っていないかを確認する。
□靴を履く時は、靴ひもを毎回結び直す。
□靴ひもは、かかとを着け、つま先を上げた状態でゆるまないように結ぶ。
□こたつやあんかなどでやけどしないように気をつける。
□皮膚が乾燥した時は、保湿クリームなどでひび割れを防ぐ。
□タコやウオノメを自分で削らない、自己流で治療しない。
□爪はまっすぐに切り、角を深く切り込み過ぎたり、深爪をしない。
□厚く切りにくい爪は、家族や看護師に協力して切ってもらう。
□神経障害や視力障害のある人は、爪切りや足の観察は家族などに協力してもらう。
□足に異変があった時は、そのまま放置せずにすぐに受診する。

<爪の切り方のポイント>

□黄線の部分より少し上を横に真っすぐ切る。
□両角を切る時は、尖った角を少し削るように切り、切り過ぎに注意する。
□ヤスリを使って、両角が滑らかになっているかを指先で触って確かめる。
□入浴後に切ると切りやすい。
□明るい場所で切る。
□厚く切りにくい爪は、医師や看護師に切ってもらう。

*出典/ニプロ株式会社

チーム医療が支えるフットケア

 セルフチェックの結果は、いかがだっただろうか。ただ、自分の足の傷や皮膚のトラブルがあることが分かっても、どの診療科へ行って治療を受ければいいのかが分からない。皮膚科、血管外科、代謝内科などのタテ割りの診療体制では、スピーディで最適な治療は十二分に望めないからだ。そこで、西田看護師は、足のトラブルをトータルに診る足のナースクリニックを立ち上げた。

 足のナースクリニックでは、足を触診して病態を適切に評価しながら、角質を肥厚させないスキンケアの指導、足底圧をコントロールするインソールや靴の履き方などのアドバイスなど、それぞれの足の状態に応じた多面的なアプローチを心がけているので、病変の改善・予防に役立てることができる。

「フットケアで大切なのは、医師やコメディカルとの強い連携です。足の状況から細菌培養検査やデブリードメント(壊死組織の除去)の必要性、感染の兆候などを判断し、必要に応じて速やかに医師に伝えなければなりません。どの科の医師にどのタイミングで判断を仰ぐのかのアセスメント能力が、私たち看護師に求められます」と西田看護師。

 糖尿病、下肢閉塞性動脈硬化症、整形外科的疾患、皮膚病変などの専門知識だけでなく、医師・看護師・理学療法士・管理栄養士・運動療法士・義肢装具士などのコメディカルとのチーム医療がフットケアの基本なのだ。

 フットケアに関わる仕事は、医療・介護・福祉・健康・美容などの業界が別々に活動してきた。この垣根を取り払ってコラボレーションしたい。多業種のノウハウを連携してフットケアのすそ野をもっと広げたい。そんな願いを込めて、昨年6月に日本トータルフットマネジメント協会(JTFA)が発足した。

 これまで国内には、医療フットケアを医療従事者が学べる専門性の高い教育機関も教育カリキュラムも存在しなかった。JTFAでは西田看護師らが講師を務めるスクールを開校し、資格認証を進めたり、多業種が交流したりお互いの分野を学び合える研究会や講演会を開催している。合言葉は「足から日本を元気にしよう!」「フットケアで生活習慣病や要介護状態をストップしよう!」だ。

 フットケアの意義を社会に広める西田看護師らの役割はますます強まっている。足のトラブルの悩みが少しでもあれば、医療機関や足の専門家に気軽に相談してほしい。
(インタビュー・文=佐藤博)

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西田壽代(にしだ・ひさよ)
聖路加看護大学看護学部看護学科卒業。足のナースクリニック代表、一般社団法人 日本トータルフットマネジメント協会(JTFA)会長。聖路加国際病院、東京海上ベターライフサービス株式会社、駿河台日本大学病院を経て2010年に足のナースクリニックを設立。病院や高齢者施設と提携し、フットケアや皮膚・排泄ケア(WOC)分野のスタッフ教育や患者ケア、同職種・多職種連携のコーディネート、講演・執筆活動でフットケアの普及・啓蒙に努めている。日本フットケア学会副理事長を10年務め、現在は常任理事。『はじめよう!フットケア第3版』(日本看護協会出版会/監修)ほか著書多数。

★足のスキンケア、ヘルスケア、シューズケアについての問合せは
足のナースクリニック
TEL:03-6435-2784
FAX:03-6435-2785
e-mail: info@japanfoot.or.jp
〒108-0023 東京都港区芝浦2-16-7 中野第三ビル
一般社団法人 日本トータルフットマネジメント協会
http://www.japanfoot.or.jp/

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