化学物質入りコスメをやめると環境ホルモンの尿中濃度が低下(shutterstock.com)
いよいよ気候が暖かくなり、気分は心地よくとも、肌が敏感な人には少々つらいところ時期だ。
空気の乾燥や花粉の飛散、そして、冬に代謝低下で弱った肌がトラブルを起こしやすくなる。
肌を刺激する身近なものといえば、化粧品やシャンプー。敏感肌の人は、その商品選定も神経質になるところだ。
そんな消費者とって、先日興味深い報告がされた。アメリカ合衆国保健健福祉省が運営する、環境保健のピアレビュー『Environmental Health Perspectives』に、化粧品やシャンプーと体内の環境ホルモンに関する研究報告がオンライン掲載された。
米カリフォルニア大学バークレー校のキム・ハーレー氏らの研究記事によると、化粧品やシャンプーを、化学物質を含まないものに替えると、体内の環境ホルモンの濃度はすぐに低下するという。
環境ホルモンとは、環境中にあるさまざまな化学物質を指す。体内にも侵入し、生物のホルモンバランスを撹乱させ、正常な生体機能を狂わせる。
身体の機能維持や成長、生殖や行動など、その影響力は甚大だ。とくに胎児や成長期など、器官形成や成長の活発な時期に受ける影響は、危険視されている。
市販のコスメ商品をやめて環境ホルモンの濃度が27~45%低下
肌に直接つけることの多いコスメティック商品は、以前から環境ホルモン成分の影響が指摘され続けてきた。
化粧品、ヘアケア製品、日焼け止め、石けん、香水など、さまざまなコスメ商品に、フタル酸塩、パラベン、トリクロサン、オキシベンゾンなどの化学物質が、広く使用されている。
そして、こうした成分は生物のホルモンに干渉することが明らかになっている。
今回、ハーレー氏らは、アメリカのヒスパニック系の10代女児100人を対象に、化学薬品を含まないと表示されている化粧品やシャンプー、ローションを、3日間使用してもらった。
この短期間、市販の一般的なコスメ商品の使用を中止したことで、環境ホルモンの尿中濃度が、27~45%低下したという。
記事によると、アメリカでは、コスメ商品の規制があまり厳しくないため、健康への影響に関するデータを得ることは難しいが、環境ホルモンと行動障害、肥満、がん細胞の増殖を関連づけるエビデンスは、近年増加しつつあるという。
研究者のハーレー氏は、こうコメントしている。
「女性は男性より、コスメ商品の利用率が高く、それらに含まれている化学物質にさらされる可能性が高い。特に10代女性は、急速に生殖機能が発達する時期であるため、次世代への影響も含め、リスクが高い」
「しかも成人女性に比べて、10代女性は多くのコスメ商品を使うことが、研究で示唆されている。使用する商品を替えることで、体の変調や不調を予防できるのだが」