インタビュー「日本初の口臭外来を開設。全国から7000人以上が受診する口臭治療のパイオニア」第3回 ほんだ歯科・本田俊一院長

口臭は「セルフコントロール」できる! ポイントはサラサラした「だ液」の分泌量を増やすこと

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
352357-2.jpg

口臭を防ぐポイントは?(shutterstock.com)

 人間は、言葉を発し会話をする能力を身につけたがために、口臭が発生する。口臭は人間である証(あかし)のようなものだ。そして、誰にでも1日の中で何度か、口臭が強くなるタイミングがある。たとえば、寝起きがそうだ。しかし、口の中の状態がよければ、すぐに臭わないレベルに戻る。口臭がきつい人は、口の中の状態が良くないため、臭わないレベルに戻らない人なのである。

 口臭はセルフコントロールできる、と医療法人ほんだ歯科の本田俊一院長はいう。自分で口臭を臭わないレベルに戻すことができるのだ。

 「そのためには、サラサラした、だ液の流れを保つようにします」

 私たちは日常、あまり、だ液を意識することはないが、だ液には重要な働きがある。
ひとつは、消化酵素アミラーゼを含むこと。口に中に入れた食べ物は、歯で噛み砕かれながら、同時にだ液で分解され、食道へ、さらに胃へと送られる。

 そして、もうひとつが、口内を清潔に保つ働きである。しかし、そのためには、豊富なだ液が口の中を流れることが必要だ。口から、だ液がたっぷりと分泌され、口の中を流れていれば臭わない。だ液の量が少なくドライマウス状態になったときや、流れが滞ったりすると、臭いやすいのだ。

だ液の分泌量を増やすことが第一歩

 食後に歯を磨く人が多いが、むしろ、食後は食前に比べて口の中は清潔である。なぜなら、食事中には、たっぷり、だ液が分泌されるからだ。

 「だ液は、噛めば噛むほど、分泌されます。また、だ液が分泌されるほど、よく噛めます。反対に、だ液がでないと、『美味しい』と感じない。真夏の暑い日に喉がカラカラの状態で、食事をしても美味しくはないでしょう。だ液は味覚的にも重要なのです。とにかく、食事はよく噛む。ひと口30回。これが、だ液の分泌量を増やす方法1です。食後にガムを噛むのも、だ液の分泌をうながし口の中を清潔にします。エアーガム噛みでもいい。噛む真似をするだけでも、だ液は出ます」

 だ液の分泌量を増やす方法2は「舌を動かすこと」だという。

 「年をとると、だ液腺の数が2分の1に減ります。それが口臭の原因にもなるのですが、心配しなくてもいい。だ液の分泌量を2倍に増やせばよいのです。そのためには、方法1の『よく噛む』も有効ですが、さらに方法2として『舌を動かすこと』があげられます。舌を動かせば、分泌量が増えてさらさらとした、だ液が口の中を流れます。無口なのは、よくない。しゃべって舌を動かすことが、だ液の分泌にも、だ液の流れを作るためにもよいのです。カラオケも良いですよ」

本田俊一(ほんだ・しゅんいち)

日本口臭学会常任理事・指導医、医療法人ほんだ歯科理事長・院長。1980年、山口大学農学部獣医学科卒業後、厚生省(現・厚生労働省)に入省、8年にわたり検疫業務に携わる。業務の傍ら大阪大学微生物病学研究所において腸管感染症の基礎研究も行なう。退官後、大阪大学歯学部に学士編入し、卒業後、歯科医院勤務を経て、95年、ほんだ歯科を開業。97年、医療法人ほんだ歯科を設立。歯科医師として臨床に携わることで口臭に悩む患者の多さを目の当たりにし、「口臭・口臭症」の研究に取り組む。2000年には口臭のデオドラント技術および口臭症治療に関するプロトコル「ほんだ式口臭治療」を確立。口臭に関する第一人者として知られる。

本田俊一の記事一覧

本田俊一
バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子