"噛まない"食生活でドライマウスに?
ファストフードなどを代表とする軟らかメニューに慣らされた食生活や、口を開けっ放しにする"口呼吸"。健康上で見逃せない「口腔乾燥症(ドライマウス)」になる人が若い世代に増えている。
ドライマウスは、唾液の分泌量が減り口内がつねに乾いている状態だ。加齢が進むと唾液の量が減ってくるが、若い世代にも広がっているのは、食生活と口呼吸が大きな理由だ。
ドライマウスは歯科疾患の一つで、病気ではないが唾液が不足することでさまざまな口腔のトラブルを起こし、それが病気の引き金になる。また、既往症が原因でドライマウスになることもある。日本では約800万人がドライマウスで悩んでいるという。
噛まずに飲み込む食事では唾液が出ない
ハンバーグにカレーライス、カップ麺にスパゲティー。戦後の洋風化された食生活は噛みごたえのある和食文化を一変させた。最近は栄養バランスに富んだ和食が見直されてきたが、若者はレンコンやゴボウなど噛みごたえのある根菜は苦手なようだ。軟らかい食べ物を好み、飲み込むような食べ方だから唾液が出ない。若者ばかりか子どもからお年寄りまで現代人の食生活は「あまり噛まない」傾向にある。
ドライマウスかどうか、次のチェックポイントがある。心当たりはないだろうか。複数の項目にチェックがついたら要注意だ。
□ 口の中がネバネして不快感がある。
□ 口の中が乾いてカラカラ。
□ 味がよくわからない。
□ 口臭がある。
□ 舌がひびわれたり、口内が痛かったりする。
□ 虫歯や口内炎ができやすい。
ドライマウスは、糖尿病や腎疾患、シェーグレン症候群(自己免疫疾患)、薬の副作用やストレスなどが原因の場合もある。もし、喉が乾いて多量の水を欲しがるときは糖尿病なども注意しよう。
「噛んで噛んで」唾液の働き援護しよう!
唾液には自浄作用という重要な働きがある。唾液によって口腔はきれいに保たれ、ウイルスや細菌を殺菌する作用がある。毒性の強い歯周病菌は内臓疾患の誘発に関わる曲者だ。
唾液は粘膜を保護し、消化吸収を高めて、食べ物を飲み込みやすくする働きもある。唾液の分泌を増やすことが現代人に課せられたミッションでもある。
まず、噛まなければ唾液は出ないことを念頭に入れよう。口に入れた食品は、30回を目安によく噛むこと。スルメやガムなど、よく噛まなければいけない食品もオススメだ。咀嚼することで唾液が出て、口の周りの筋肉も鍛えられ一挙両得。
唾液の分泌を促すには、酸っぱいものも有効だ。あとはこまめに水を飲んで口腔や喉を潤す。特に高齢になると体内の水分は50%に減少するため、加齢が進むと意識的な水分補給は欠かせない。脱水症状は血液の濃度を上げ、血栓症の誘引にもなる。気づいたときには脱水症状、という前にこまめな水分補給を心がけたい。
(文=編集部)