足が痛ければ足科へ、日本の病院にも足科を!
欧米諸国では、足の病気に対する体制は日本よりずっと整備されていて、足を診る専門のライセンスが存在する。
例えば米国においてはPodiatrist(ポダイアトリスト)という医師免許がある。整形外科、形成外科、外科、皮膚科、血管外科などに通じた「足の医師」の免許で、大学を卒業して4年間の足病医学専門教育を受けた後、3年間のレジデントを得て取得できる。約100年の歴史があり、現在、約1万7000人のポダイアトリストが開業しているという。
一方、日本では、近年ようやく足医療の重要性が認識されるようになってきたところである。日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会といった学会がフットケアの普及と充実、下肢切断の回避を目指して活動しているが、米国に比べると、足医療に関しては100年遅れているのが現状だ。
「米国のように、足の調子が悪ければ、足のお医者さんに行くという体制は、患者さんにとってはとてもわかりやすいものです。日本でもそれを実現させたい。ただ、日本の医学部には今のところ『足科』はありません。私自身も形成外科医なので、できることには限りがあります。ですから整形外科、血管外科、皮膚科といった専門医によるチーム医療によって、足の総合診療を実現しています」
日本でも、医学部で足の大切さを教え、「足科」の医師を育てていくべきだと桑原氏は考えている。
「2008年から糖尿病足病変予防のためのフットケアが診療報酬として算定できるようになりました。これは、フットケアの有効性、重要性が認められつつあるという証明であり、大きな前進です。とはいえ、まだまだ米国のレベルには遠く及びません。足の診療をさらに普及させ、充実させていくために、診療を通してエビデンスを構築していきたいと思います」
(取材・文=梶浦真美)