35歳までにやめれば寿命が縮まない?
また少し古いデータだが、厚生労働省の「禁煙成功率の実態調査報告書」(平成21年)によれば、「禁煙外来に訪れた人が最後まで受診を続ける確率」は65%、「全5回受診した人が9カ月後に禁煙している確率」は49%。治療を途中でやめなければ、約5割の人が9カ月後も禁煙を続けているということだ。
それを踏まえて今回の診療報酬改定では、禁煙治療を行った医療機関が受け取る「ニコチン依存症管理料」の報酬額にペナルティーが設けられる。つまり、禁煙治療が中止になるケースの多い医療機関では、報酬が減算になる見通しなのだ。医療機関にも積極的な取り組みを促そうという狙いだ。
2012年に英国医学雑誌「British Medical Journal」に掲載された、1920〜1945年に生まれた日本人の長期追跡調査によると、現役の喫煙者は喫煙経験が全くないグループに比べて、男性の死亡率が2.21倍、女性では2.61倍に達した。さらに寿命は男性が8年、女性で10年も短くなったという。
しかし同じ解析結果から、35〜44歳の間に禁煙すると、死亡リスクが1.06〜1.4までに改善されることも判明している。つまり若い頃に喫煙習慣があっても、何とか35歳までに禁煙できればぎりぎり非喫煙者並みになる。そして44歳までなら、タバコによる失われた寿命をそこそこ回復できるそうだ。
喫煙本数や年数が少ないと「いつでもやめられる」と高い治療費を払うことを躊躇しそうだが、保険が適用されれば負担はぐっと減る。今回の見直しが、若い層の禁煙を後押しすることを願う。どうせやめるなら、早ければ早いほどいいのだ。
(文=編集部)