若いうちにやめるにこしたことはない!(shutterstock.com)
飲食店や職場での分煙や禁煙が浸透し、「タバコ吸い」の肩身がますます狭くなる昨今。世界保健機関(WHO)の2013年の試算によると、喫煙による年間死者数は世界で600万人に上り、このまま行けば2030年には年間死者数が800万人に達するという。諸々の理由で「すっぱりタバコをやめたい」と本気で思っている人も多いだろう。
しかし喫煙者にとって、気分転換の1本はなかなか手放せないものだ。多くの調査を総合すると、禁煙に成功した人でも平均2〜3回は挫折しているという。やめる意思があるのになぜやめられないのか? その理由は、喫煙が薬物依存というれっきとした「病気」だからだ。
そうしたニコチン依存症患者の禁煙をサポートしてくれるのが、医療機関の禁煙治療。ただし今までは一定の喫煙歴を満たさなければ健康保険が適用にならなかったため、特に若い喫煙者にとって禁煙外来の受診はハードルが高かった。
そこで厚生労働省は今年4月から、34歳以下の患者が禁煙治療を受けやすくなるように、制度の見直しを行うことを決定した。
34歳以下は本数に係わらず保険適用に
従来、ニコチン依存症患者が禁煙治療で保険適用を受けられるのは、1日の喫煙本数×喫煙年数の指数が「200以上」の場合に限られる。たとえば、1日20本吸う人でも、吸い始めから10年経過していなければ資格がないことになる。厚生労働省によると、20代のニコチン依存症患者の82%はこの指数の基準を満たしていない。
しかし、医療現場などからは、かねてから若年層の禁煙治療を推進すべきという指摘があった。厚労省の試算によると、20歳代の喫煙者が喫煙年数などに関係なく、禁煙治療を保険診療として受けられるようルールを見直せば、治療を受ける人が約3万人増える。そして、喫煙に関連する疾病を予防することで、約125億円の医療費削減効果が見込まれるという。
そこでこの4月から年齢が34歳以下の人に限り、医師にニコチン依存症と診断されれば、指数に関係なく禁煙治療の保険適用を認めることになった。
禁煙治療に保険が適用されるか否かで、自己負担額はどのくらい変わるのか。たとえば12週間で合計5回の治療を保険外で受けた場合、処方される薬にもよるが、全額自己負担で6万円程度かかる。これが保険適用になれば、3割負担として1万8000円程度ですむ。
もし1日1箱タバコを吸う人なら、12週間分のタバコ代は3万6000円程度になるので、保険で禁煙治療を受けた場合の負担額のほうが安くなり、お財布に優しいという即効性も発揮することになる。