シリーズ「頻尿と頻便と頻脈のサイエンス」第1回

底冷えの冬こそ注意! 夜中に3回以上トイレに起きる「夜間頻尿」は寿命を左右する!?

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 就寝中に何回トイレに行くのだろうか? 40歳以上の男女約4500万人は、夜間1回以上。3回以上トイレに起きる夜間頻尿は、60〜70代では男性の30%、女性の15%だ。

 夜間頻尿は、夜間の尿量が多くなる夜間多尿、少量しか膀胱に溜められなくなる膀胱容量の減少、眠れない睡眠障害などが原因で起きる。

 夜間多尿は、水分の摂り過ぎのほか、糖尿病、高血圧、うっ血性心不全、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群などが誘因になることが多い。

 膀胱容量の減少は、過活動膀胱、前立腺炎、膀胱炎などで膀胱が過敏になるために起きる。過活動膀胱は、パーキンソン病などで膀胱のコントロールが効かなくなり、少量の尿が溜まると膀胱が勝手に収縮する病気だ。脳卒中や前立腺肥大症の排尿障害によって、膀胱が過敏になっても発症する。膀胱の老化現象が多いが、原因が不明の場合も少なくないので、年齢性別を問わず要注意だ。

 睡眠障害は、眠りが浅くすぐ目が覚めてしまうために、目が覚めるごとに気になってトイレに行く症状だ。

 20〜30代でも必ず夜中にトイレに行く人は、眠っている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS/スリープ・アプニア・シンドローム)の可能性がある。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の無呼吸(10秒以上の呼吸の停止)による酸欠状態が1時間に5回以上発生し、昼間の眠気など様々な症状を伴う病気だ。

 また、夜中のオシッコは、日中よりも尿量が少ないのが普通だが、糖尿病、心臓病、腎臓病などのリスクファクターが高まると、尿量が増えるために、夜間頻尿になりやすい。

 順天堂大学の堀江重郎教授によれば、北欧の高齢者グループを4年間追跡調査したところ、夜間頻尿の人は、そうでない人よりも約2倍も死亡率が高かったという。夜中にトイレに行く回数が少ないほうが長生きしやすい、つまり、夜間頻尿は寿命に関連する事実を示すひとつのデータだ。

 オシッコと病気の因果関係は、実に多様だ。夜間頻尿だけでなく、自分の意思とは関係なく漏らす尿失禁のほか、尿道が緩くなる尿道括約筋不全、前立腺が大きくなって尿道を圧迫する前立腺肥大症など、さまざまな排尿機能障害がある。オシッコは、動脈硬化、糖尿病、高血圧、うつ病、ストレスなどとの関連が深いことが分かっている。

 「転ばぬ先の杖」と言う。夜間頻尿や尿失禁は、重大な病気のサインかもしれない。オシッコの状態が少しでも気になるなら、泌尿器科を必ず受診してほしい。
(文=編集部)

【参考文献】毎日新聞・医療プレミア「Dr.堀江重郎の健康羅針盤/オシッコの回数と寿命の関係」2015年11月2日

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