大人も罹る「おたふく風邪」で重症化! ワクチン接種で重篤化を回避する

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流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の予防接種は大人も有効(shutterstock.com)

 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の流行が、全国的に拡大しつつある。

 国立感染症研究所によると、第48週(11月23日~29日)の流行性耳下腺炎の報告数は全国で2401人。定点医療機関あたりの患者報告数が3.96人と最も多い佐賀県では、すでに注意報が発令されている。

 しかし、そんなニュースを見かけても、「所詮は子どもの病気だから、自分には関係ない」と思っている人も少なくない。おたふく風邪を侮るなかれ。その合併症は、子どもよりも大人のほうが怖い。

 おたふく風邪の好発年齢は、集団生活を体験しだす2〜5歳。ワクチンの接種期も、それ以前が適切とされている。さらに、男性の合併症例(精巣炎・睾丸炎)が10歳以降に増えるので、遅くとも思春期前のワクチン接種が肝要だともされている。

 それが「おたふく風邪は子どもの病気」と誤解されがちな所以だろう。だが、大きな間違いだ。おたふく風邪は、大人も例外なく罹る病気であり、高熱で生殖器に影響が及べば、男性の場合は精子の減少や減退で不妊へ、女性の場合も卵巣炎で不妊確率が7%前後という統計もある。

唯一の予防法はワクチン接種のみ

 おたふく風邪はムンプスウイルスが原因で、片側ないし両側の耳下腺(=耳の下)が腫れる感染症だ。上気道から飛沫感染し、2〜3週間の潜伏期を介して発症する。

 首の痛みや発熱、頭痛や腹痛や倦怠感、咳・鼻水・嘔吐を伴うこともあり、前述以外にも難聴や脳炎・膵炎・肝炎、髄膜炎・骨髄炎・甲状腺炎・心筋炎、溶血性貧血などの合併症を引き起こす。罹れば対症療法、唯一の予防法がワクチン接種なのは、老若男女いずれも事情は変わらない。

 罹る季節も冬期とは限らず、今夏を例に取れば、ブラジル代表FWのネイマール選手(バルセロナ)がおたふく風邪で15日間の戦線離脱。HKT48の秋吉優花さんも同じ8月のおたふく風邪に見舞われて、指原莉乃が座長を務める舞台の休演を余儀なくされた。

 また、タレントの小川菜摘さんも、一昨年3月のブログで「耳下腺炎」による安静を報告。「一昨日の夜から急に右の耳の下が痛みだし、気が付くと、物凄い腫れ上がっていました」と典型的な症状を記し、季節を問わない大人のおたふく風邪を証言していた。

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