耳の下にある耳下腺(唾液をつくる器官)が腫れて痛みがある病気です。両側が腫れることもあれば、片側しか腫れないこともあります。顎の下が腫れることもあります。熱の出方もさまざまですが、あっても数日で解熱することがほとんどです。
不顕性感染といって、腫れが分からないで終わってしまう場合もあります。このような場合でもちゃんと免疫はできますから、感染後に耳下腺が片側だけ腫れた場合でも、将来、反対側がまた腫れてくるといった心配はいりません。腫れを繰り返す場合は、おたふくかぜ以外の病気を考える必要があります。
おたふくかぜの原因はムンプスウイルスで、主に飛沫感染によってうつる感染力の強い疾患です。他人に感染させる力は、発症する前後約1週間にわたって認められます。潜伏期間はおよそ2~3週間です。
こわい合併症があることがこの病気の問題点で、髄膜炎・脳炎、感音性難聴(音を感じる内耳から脳にかけての異常による難聴)、膵炎などがあり、その他の腺組織(精巣・卵巣など)にも障害が出ることもあります。
主に耳介の下方からあごの方向に耳下腺が腫れますが、あごの下の顎下腺が腫れることもあります。腫れは3日から7日ほどでひいてきます。自発的な痛みがあり、触ったり口を開けたりしたときに痛みが増強することがあります。ひどくなるとものを食べることも困難になることがあります。
ただし、このような腫れや痛みの症状を出す病気は他にもあるので、安易に自己診断しないことが大切です。頭痛、嘔気、嘔吐、意識障害などを認める場合、あるいは発熱が長引いている場合は髄膜炎の合併も考慮する必要があります。早期に医療機関を受診してください。発症後1週間以内に難聴を合併するケースもあります。頻度は高くありませんが年齢が低い場合は症状を訴えないこともあるので注意は必要です。
確定診断は、体液のウイルス分離と血清から抗体を調べることでおこなわれます。耳下腺を腫らす病気は他にもいくつかあるため、耳下腺付近の腫脹のみでおたふくかぜと診断を確定することは難しいことが少なからずあります。しかし、治療上必要と認める場合以外は手間と費用がかかることもあり、実際には流行状況等の疫学的判断を合わせて診断します。
抗ウイルス薬などを使用する特異的な治療法はなく、症状に応じて必要な対症療法を行います。痛みや発熱に対しては解熱鎮痛剤を投与しますが、安全性の高いものを使う必要があります。局所の冷却は本人が気持ちよいのであればしてよいでしょう。
ワクチンによる予防接種があります。発病を防ぐことよりも、重篤な合併症を防ぐために行うものと理解すべきです。他人への感染力が強いので、かかってしまった場合は腫れが完全に引くまでは集団生活を控え他人との接触を避けるべきです。
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