大笑いをした後の爽快感は、誰もが経験あることだろう。感情的なプラス作用だけでなく、体へのプラスの効果が次々と報告されている。
糖尿病患者に糖尿病についての講義を聴いてもらった後と、漫才を見て大笑いした後の食後の血糖値を比較したところ、前者は123mg上がり、後者は77mgしか上がらなかった。また、リウマチ患者にも同様の調査をしたところ、講義を聞いた後は免疫を抑制するストレスホルモンが増加し、落語を聞いた後は減少したという。
体を守る免疫システムの中に、リンパ球の一種、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)があり、体の中に入ったウイルスや毎日生まれ続けているがん細胞を日々攻撃し退治している。このNK細胞のおかげで、毎日を健康に過ごすことができているといっても言い過ぎではない。逆に言うと、NK細胞の働きが弱まったときが、ウイルスやがんにつけ込まれるときだと思ってもいい。
NK細胞には、つねに元気に働いていてほしいものだが、それには「笑い」が大きな力を発揮する。大笑いすると、脳内で神経ペプチドが活発に生まれ、それが全身に行き渡ってNK細胞を活性化させるのだ。一説によると、その効果はがん治療による免疫療法薬よりも効果があるという。もちろん、高齢者だけの話ではない。
自分を笑わせるために貪欲であろう
恐るべし、笑いの効果。だが、「味気ない一人暮らしのなかで大笑いする機会をつくれと言われても……」と思う人もいるかもしれない。笑い合う仲間がいないという人も。
そこで、最近若い人にも見直されている落語を聞いてみてはどうだろうか。あるいは漫才やコメディ映画を見てみるのは? 自分を強制的に笑わせるため、積極策に出てみよう。寄席や映画館に出かけるのもいい。地域の図書館では落語のCDを貸し出しているところも多い。
政治家の小泉進次郎氏も、定評のある演説を落語で勉強したことを明かし、「寄席の雰囲気が好きで、よく足を運んでいます」と自身のブログで綴っている。また、今年刊行された『ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?』(著:石田章洋, 横山信治・日本能率協会マネジメントセンター)では、ビジネスパーソンの約半数が「落語が好き」で、落語はコミュニケーションスキルを上達させる最善の方法だと、その魅力を紹介している。
ほかには、体を動かしながらの「笑い」は一段と効果がアップする。笑いとヨガの呼吸法を組み合わせた「ラフターヨガ」は、多くの酸素を体に取り入れることができるといわれる。
大笑いするのが難しいなら、作り笑いをしてみよう。まずは鏡を見ながら口角を上げる練習だ。形だけの笑顔でも、脳は「笑っている」と認識し神経活動が活性化するという報告もある。自らの笑顔で福と健康を呼び寄せよう!
(文=編集部)