連載「死の真実が“生”を処方する」第14回

“在宅死”が増えても医療費削減にはならない~自宅での安らかな最期を

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多くの人が自宅で最期を迎えたいと思っているが......shutterstock.com

 現在、ほとんどの人が、病院で人生の最期を迎えています。その背景には、家族に迷惑がかかるという遠慮があり、自宅での医療サポート体制が不十分だという問題もあります。在宅死の場合、「変死」と判断されることもあり、安心して自宅で最期を迎えるには、まだまだ課題があります。

8割の人が本当は自宅で最期を迎えたい

 「畳の上で死ねたら本望」という言葉があります。安らかに自宅で死を迎えたいという意味でしょうが、実際にはどれくらいの人が自宅で最期を迎えているのでしょうか?

 厚生労働省の人口動態統計で、国民の死亡場所を調べてみました。昭和26(1951)年には、自宅で亡くなる人の割合が82.5%、病院や診療所で亡くなる人は11.7%でした。時代とともにこの割合は徐々に逆転し、平成15(2003)年には81.6%が病院や診療所で亡くなり、自宅で最期を迎える人はなんと13.0%にまで減少したのです。

 時代の流れの中で日本の社会や文化、価値観は変わってきましたが、現在の日本では、自宅で最期を迎えたいと思う人は少ないのでしょうか?

 病気や老衰などで近い将来に死期が迫ってきた時期のことを「終末期」と言います。この時期は、残された人生を有意義に、そしで生命、人生の質を高めた状態で過ごすことが重要なのです。

 さて、終末期医療に関する調査検討会の報告書に、興味深いデータが記されています。その報告書によれば、「死期が迫っている場合、どこで最期まで療養を送りたいですか?」という質問に対して、約6割の人が「できるだけ自宅で療養したい」と答えているのです。さらに、自宅で最期を迎えたいと考える人は8割弱に達しています。

 しかし、同調査で「最期までの自宅療養が、現実的に困難であると考える理由は何か」という質問に対しては、約7割の人が「介護してくれる家族に負担がかかる」ことを挙げています。

 このように、多くの人は自宅で最期を迎えたいのですが、家族に遠慮しているのが現状です。自宅で最期を迎える人が、わずか13.0%しかいない背景には、家族に気を使って自分の本心を明かさないこともあるかもしれません。さらに、安心して在宅療養を選択できないようなシステムが弊害となっているのではないでしょうか。

終末期の医療費は年間で約290万円