トランス脂肪酸の全面禁止のメリットとは? 英国では最大約489億円の経済効果!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
8061871-2.jpg

ファストフードにはトランス脂肪酸がたっぷり (shutterstock.com)

 マーガリンやショートニングなど化学的に作られた食用油脂や、それを使ったインスタント食品やスナック菓子など、さまざまな加工食品に含まれる「トランス脂肪酸」。多くの研究で、冠動脈疾患との関連性が指摘され、健康への悪影響が懸念されている。

 世界各国では、それぞれの食習慣や疾病の背景に合わせて、食品への含有量規制や含有量表示といった処置を講じているが、今年6月、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、加工食品への使用の全面禁止を発表した。

 一方、イギリスでは、食品メーカーの自主性に任せる立場を取ってきたが、アメリカと同様、トランス脂肪酸が全面禁止となったらどうなるか?

 ランカスター大学のKirk Allen氏らは、トランス脂肪酸の国民の健康や社会経済に与える影響、費用対効果について調査。その結果、アメリカのように加工食品のトランス脂肪酸を全面的に禁止が、最も好ましいと判明している。

 この研究は、イギリスの国民食事栄養調査、低所得者食事栄養調査、統計局のデータなどを、疫学的な方法で規制の有効性を比較検討したもの。比較したのは次の4つについてだ。

①加工食品規制:加工食品へのトランス脂肪酸の使用を全面禁止
②食品表示規制:トランス脂肪酸の含有量を加工食品に表示
③レストラン規制:レストランのトランス脂肪酸の使用を禁止
④ファストフード規制:ファストフードのトランス脂肪酸の使用を禁止

 主要な評価項目は、「冠動脈疾患による死亡を防ぐ」か「発症を遅らせる」ことができる件数である。さらに、規制によって政府や企業に生じる負担や、医療費、生産性の低下から生じる負担などを総合的に推定することで、社会全体への経済的な影響についても検討した。

 その結果、①加工食品へのトランス脂肪酸の使用を全面禁止した場合、2015〜2020年で冠動脈疾患死を約7200例(2.6%)回避できるか、発症を遅らせることができると推定された。その他の規制では、②食品への含有量表示で最大約3500件(1.3%)、③レストラン規制で約1800件(0.7%)、④ファストフード規制で約2600件(1%)となっている。

低収入な人々の死亡が15%も減る!

部下や同僚が「うつ病」になったら? リワークのプログラムの提供施設は全国200以上に拡大
インタビュー「職場でのうつ病の再発を防ぐ」秋山剛医師(NTT東日本関東病院精神神経科部長)

第1回:「障害」が疑われる人の<うつ休職>
第2回:「新型うつ」はどう治す?
第3回:部下や同僚が「うつ病」になったら?
うつ病で休職中の社員が、毎日決まった時間に病院に通い、同じうつ病の仲間とともに再発を防ぐためのプログラムを受けることが「うつ病のリワーク」と呼ばれ注目を集めている。

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

こくらクリニック院長。1963年生まれ。1991…

渡辺信幸

シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センタ…

中村祐輔