抗菌石鹸の除菌効果に疑問、むしろ添加されている危険物質に注意が必要

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実際は抗菌石鹸に効果が無い?shutterstock.com

 普通の石けんと「抗菌」石けんでは、手の細菌を除去する効果に差がないことが、韓国の新たな研究で明らかにされた。抗菌成分のトリクロサンは、細菌を数時間曝露させた場合は普通の石けんよりも強い殺菌作用が認められたが、実際に手を洗う試験では普通の石けんを超える清浄効果は認められなかった。

 韓国、高麗大学校(ソウル)の Min Suk Rhee 氏は、「トリクロサンの殺菌効果は曝露する濃度と時間によって決まる」と説明する。しかし、抗菌石けんで手を洗う人の多くは、トリクロサン0.3%(法律で認められた最大濃度)未満の石けんを用い、30秒未満しか手を洗わないため、十分な効果が得られない。この知見は「Journal of Antimicrobial Chemotherapy」9月16日号に掲載された。

 米国食品医薬品局(FDA)によると、抗菌成分として液状石けんにはトリクロサン、固形石けんにはトリクロカルバンが用いられるが、その効果や安全性については疑問の声もあるという。

メーカーは確かな効果のエビデンス提出の義務

 トリクロサンは細菌の中でも黄色ブドウ球菌やジフテリア菌などのグラム陽性菌の殺菌に強く、殺菌だけでなく、その後の菌の増殖を抑える静菌作用もあるといわれる。トリクロカルバンもトリクロサンと同様、グラム陽性菌に優れた殺菌効果がある。

 トリクロサンの危険性については、動物の研究では正常なホルモン調節を妨げたり、抗生物質耐性に寄与したりする可能性が示されている。また、妊娠中の女性へのトリクロサン暴露がエストロゲンの分泌異常を引き起こし、胎児に悪影響を与える可能性があるとする発表やトリクロサン自身が常温でダイオキシンに化学変化することは無いとされるものの、低温焼却炉ではトリクロサンがダイオキシン類に転化する可能性が示唆されている。

 FDAは、(2016年より)トリクロサンに関連する表示の裏付けとなる確かな研究結果の提出をメーカーに求める新たな規則を提案している。

 今回の研究では、20種類の細菌株を試験管に入れ、普通石けんと0.3%トリクロサン含有石けんに手洗い時の一般的な温度で曝露させた。9時間以上継続して曝露した場合、トリクロサンには「有意に」強い抗菌性が認められたが、10、20、30秒の曝露では、普通石けんを上回る効果はないことがわかった。追加試験では成人16人が実際に手を洗ったが、いずれの石けんも細菌除去に概ね有効であり、両者の間に有意差はみられなかった。

 Rhee氏は、今回の結果は抗菌石けん製品に関する最終的な結論を示すものではないと強調している。また、業界団体の広報担当であるBrian Sansoni氏は、抗菌石けんの安全性と有効性には長年のデータと研究に裏付けられた実績があるとの見解を示している。

 米ニューヨーク大学ランゴン医療センター准教授のLeonardo Trasande氏は、「今回の結果は、普通の石けんでも十分であることを明確に裏付けるものだ」と述べている。

 抗菌効果に差がないのであれば、危険性のある添加物である抗菌成分トリクロサンの含有された抗菌石鹸をあえて使う必要が無いことになる。むしろ、予想外のリスクを抱え込むことになる。
(文=編集部)

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