もう一つ、腸の驚くべき役割として、外敵から身を守る免疫機能がある。免疫細胞には、樹状細胞やマクロファージ、リンパ球などがあるが、全身の免疫細胞の60~70%が腸に集中している。小腸の内側には絨毛とよばれる小さな突起が密集しているが、その絨毛と絨毛の間にパイエル坂というリンパ組織が分布しており、腸の免疫システムの中心となっているのだ。
腸に免疫機能が備わっているのは、外部からとりこまれた病原菌を排除する必要があるためだ。食物や飲み物、空気などと一緒に、腸の中に有害なものが入ってきた場合、それを排除する仕組みがあり、このような腸の免疫システムは「腸管免疫系」とよばれている。腸管免疫が弱まると、病原菌がたちまち体内に蔓延してしまう。
逆に、免疫力に異常が起きて、不必要なものにまで過敏に体が反応を起こしてしまうことがある。これがアレルギーだ。
脳や全身の免疫機能に関わっている腸。その腸内環境が悪くなれば、お腹だけでなく、当然、脳や体にさまざまな不調が起こってくる。腸内環境を整えることが、健康を維持するのには欠かせないのだ。