大腸内視鏡4万件以上の実績
大腸がん撲滅を誓い、ひたすら大腸内視鏡検査の技術を磨き、「まったく痛くない」検査を行えるようになった後藤院長だったが、撲滅には大きな壁があることに気づいた。大腸内視鏡検査を受ける人が余り多くないのである。がんにかかりやすくなる40歳以上のおよそ25%しか受けていないという。
確かに、会社や市町村の健康診断の項目にも大腸検査があるのだから、わざわざ大腸内視鏡検査を受ける必要はないのではないか? と考える人が多いのはうなづける。しかし、後藤院長はこう説明する。
「あれは便潜血検査といって、検便をして、血液が混じっているかどうか調べるものですが、進行がんの7割、早期がんの3割しか見つけることができません。いっぽう内視鏡検査では100%見つけることができます。さらに5年に1回、受けていれば、もしがんが見つかっても亡くなることはありません。3年に1回受けていれば、がんの開腹手術を受けるような状態にはなりません。がんになる前のポリープを内視鏡でとってしまえるからです」
大腸がんは、第1に進行がゆっくりだという特徴がある。それだからこそ早期発見がより重要になる。対照的なのが肺がんで、1センチ以下でないと治癒できないが、見つかるのはだいたい2センチぐらいになってからであり、それ以降もあっという間に進行してしまう。
また大腸がんの第2の特徴は、最初は小さなポリープができ、それが大きくなるにつれて、がん化するということだ。
「3年に1回検査を受けていれば、ポリープができても、がん化まで進むことはないので、内視鏡でポリープをとるだけですみます。5年に1回受けていれば、仮にがん化しても、まだ初期のため手術をすれば100%治癒します」
大腸内視鏡検査で大腸がんは劇的に減る
がんの中でも死亡数が2位(女性では1位)に位置するため、「大腸がんが見つかったら、終わりだ! 怖い!」という心理で、内視鏡検査を遠ざけている人もいるかもしれないが、それはまったくのナンセンスなのだ。
「このように、非常にゆっくり増殖する大腸がんですが、第3の特徴として、抗がん剤や放射線治療が効きにくいということがあります。そこで、早めに発見し、切除することが求められるのです。しかし、5年に1回の大腸内視鏡検査で早期発見できるのですから、大腸がんは、けっして怖いがんではありません」
大腸がんを知り尽くした後藤院長は、大腸内視鏡検査さえ受けてもらえれば、大腸がんで亡くなる人は劇的に減るのに、という痛切な思いを抱いているのだ。
「40歳を過ぎたら、一生に一度のつもりで、大腸内視鏡検査を受けてみてください。仮にポリープがあれば、ポリープができやすい、つまり、がんになりやすい体質だとわかります。それがわかれば、5年後に検査を受けようという気持ちをもってもらえるかもしれません。
また大腸内視鏡検査は、肛門からスコープを入れるため恥ずかしいという気持ちをお持ちの方も多いでしょう。しかし、一度、受けてもらえれば、あまりにも簡単で短時間で痛みもないため、これなら次も受けようと思っていただけるはずです」
しかし、巷(ちまた)では「大腸内視鏡検査は、痛いし時間がかかるから、もうこりごりだ」という話もよく聞く。次回は、後藤院長のまったく痛くない「水侵法」について詳しく説明する。